サブスク成功は、リピーターをターゲットにすることでできる

サブスク成功は、リピーターをターゲットにすることでできる

ビジネスにも流行があり、さまざまな手法が新しく登場しては注目を集めています。
最近各分野で導入されているのが「サブスクリプション型ビジネスモデル」です。

ここではサブスクリプションの成功理由を「顧客の満足度」「LTV(顧客生涯価値)の高さ」「既存客の長期利用」の3点から考えてみましょう。
サブスクの成功は、既存客をターゲットにすることから生まれてきます。徹底した顧客視点のシステム設定がカギを握るのです。

顧客の満足度が高いサブスクリプション

「サブスクリプション」とは、ユーザーがサービスや商品を一定期間利用できる権利に対してお金を払うモデルです。動画配信サービスや音楽配信などが分かりやすい例で、ユーザーは動画を購入するわけでなく一定期間だけ「動画を見る権利を買う」というものです。
現在ではさまざまな業界がサブスクリプション型モデルを始めており、カーシェアや家電・女性向けの高級バッグ・ファッションの分野でも人気を集めています。

サブスクリプションが従来の定額制と大きく異なるのは、つねに「顧客の満足度」を視野に入れてマーケティングを展開している点です。
定額制では毎月同じ金額で同じサービスを提供します。サブスクリプションでは定額制から一歩踏み込んで、顧客のニーズに合わせてサービスや商品を変え、満足度を高めていきます。顧客の「長期利用を目指す」ことが目的だからです。
ですからサブスクリプション型モデルでは顧客の利便性が高いシステムを導入しています。
多様な料金形態を用意して必要な分だけサービス・商品を使えるようにしたり、休止期間をもうけてユーザーの脱退を防ぎ、定期的に再利用をうながしたりして、顧客との関係性を継続していくことを重視しているのです。

つまりサブスクリプション型モデルでは、新規顧客の開拓よりも既存客が大切であり、もっと言えば既存客の「LTV(顧客生涯価値)」を高めることが目的なのです。

LTVが高い=既存顧客を常連化できている

「LTV(Life Time Value・顧客生涯価値)」とは「1人の顧客が企業にもたらす総支払額」を意味する言葉です。
サブスクでは長くサービスを利用してもらい、顧客のLTVを最大限に高めることで、安定的な収益をねらいます。企業にとってのサブスクのメリットは

  1. すでに関係性のできている既存顧客の長期利用を促し、低コストで収益を上げる
  2. 顧客のニーズに合わせて提供するサービス・商品を変更し、よりニーズに沿った改善が行える

という2点です。
企業の手元には、サブスクを利用しているユーザーの基本情報があります。これを利用して顧客にとっての最適なタイミングで別のサービス・商品を提案したり、料金形態の変更をうながしたりして、1人の顧客からの売り上げをアップさせます。
新規顧客から1万円の売り上げをあげるより、毎月8000円のサブスクを長期利用している既存客から1万円のサブスクへ変更してもらうほうが確率も高いでしょう。そしていったん1万円に変更した顧客の多くは、8000円に戻ることはありません。1万円のまま継続してもらえるケースが多いのです。

このように、サブスクが成功しているということは「既存客のLTVが非常に高い・既存客の常連化ができている」ことを意味しています。

顧客ニーズに合わせて長期利用をめざすサブスク

サブスクでは「既存客をターゲットにして、既存客のニーズに合わせていく」ことが成功につながるポイントです。

長期利用・客単価アップのためには、顧客のニーズにあわせて商品・サービスのほうが変化していかなくてはなりません。
企業側のメリットを追求していくのではなく、顧客が喜ぶことを優先して、顧客に長く利用されるシステムに日々作り替えていくことで収益を上げているのです。この点も、従来の月額型とは大きく違うところでしょう。

成功したサブスクリプションでは
「顧客視点のサービス→顧客満足度アップ→企業ロイヤリティの高まり→長期利用・安定収益→顧客目線のサービス」
という理想的な循環がおきています。
企業側は、ときには顧客にサービスのダウングレード(低料金プランへの変更など)の提案をすることもあります。あえて目先の利益を落としてでも、「長期利用」の達成をめざしているのです。

まとめ

ビジネスの新しい流れともいえるサブスクリプション。成功させるためには以下の3点を抑えておく必要があります。

  1. ターゲットは既存客とし、顧客の満足度を高めて安定収益を得る
  2. 多様なプランを用意して、1人の顧客のLTV(顧客生涯価値)を高める
  3. 顧客のニーズに合わせてサービス内容を変化させ、長期利用をめざす

サブスクリプションでは新規顧客の獲得以上に既存客を重視します。顧客と企業との関係性を重視するビジネスモデルのため、企業側にはつねに柔軟に変化していくことが求められます。顧客目線に立ったサービス提供で安定的な収益をあげましょう。

 

飲食店にこそ、ストーリーテリングマーケティングを導入しよう

飲食店にこそ、ストーリーテリングマーケティングを導入しよう

新型コロナウイルスのために、日本中の飲食店が苦境におちいっています。なにか売り上げのために出来る事はないか‥とお考えの店主さんも多いでしょう。
ここでは、飲食店にこそストーリーテリングマーケティングが適しているという観点から「ストーリーによる付加価値」「飲食店とストーリーテリングマーケティングの好相性」「顧客にストーリーを伝える仕組みづくり」についてご説明しましょう。

物語性のある商品やサービスには見えない付加価値があります。コロナで苦境にある飲食店こそ、ストーリーを取り入れるといいでしょう。

店やメニューの「ストーリーによる付加価値」

「ストーリーテリングマーケティング」とは、企業のブランドコンセプトや商品・サービスを「物語」を使って印象づける手法です。飲食業界でもクチコミの多い人気店にはメニューやスタッフに「ストーリー」があり、それが魅力となってお客さんを引き付けています。

とくに飲食店の場合、メニューや食材、料理の背景にはたくさんのストーリーがあり、お客さんに向かってアピールすればかなり効果的な売り込みになります。
またストーリー性のある食材やメニューはSNSなどでも拡散されやすく、店側が気づかないうちに多様な客層に情報が届いていることもあるのです。SNS上ではひとつのストーリーが広く伝わり、大化けする可能性もあります。

身の回りを丹念に探して、メニューや食材、店舗についての物語を探してみましょう。ストーリーを発掘してくる苦労はありますが、お店のスタート当初の苦労話や営業が軌道にのるまでのエピソードなど飲食店には思わぬストーリーが転がっているものです。

飲食店とストーリーテリングマーケティングは好相性

ストーリーテリングマーケティングと相性がいい飲食店とは、以下の2点の条件をクリアしている店です。

  1. 飲食店としてのこだわり・コンセプトが強固でブレがない
  2. お客さんがSNSなどで拡散したいストーリーである

もともと、コンセプトがしっかりとある飲食店とストーリーテリングマーケティングは好相性の組み合わせです。
ストーリーとはつまり「こだわり」という事ですから、飲食店としてのこだわり・コンセプトが強固であればあるほどお客さんは店のストーリーに興味を持ち、やがて店そのものにハマってくれます。

ストーリーテリングマーケティングは、お客さんの「感情」を揺り動かす手法です。しっかりしたコンセプトのある飲食店のストーリーは強固であるだけに人の心に刺さりやすくなっています。
そしていったん店のストーリーに賛同した顧客は、ロイヤリティの高い優良な顕在的顧客となり、長期間にわたって店に通う熱心なリピーターに成長します。

リピーターに支えられている飲食店はコロナ禍においても堅実に営業を続けているところがとても多い。これは店側のこだわりストーリーを貫き通すことで、顧客との良好な関係が作れているからなのです。

ストーリーを伝える仕組みづくり

ストーリーテリングマーケティングで重要なのが「ストーリーを伝える仕組みづくり」です。どれほどいいストーリーがあっても、それをお客さんに伝えていかなければ訴求力にはつながりません。
ストーリーを伝えるには、次の2点に注目するといいでしょう。

  1. メニューに料理や食材に関するストーリーをのせておく
  2. ツイッターやフェイスブックなどのSNSでストーリーを発信する

いずれも低コストでできるストーリー伝達なのがポイント。
飲食店に必ずあるメニューには、食材や料理のストーリーを短い文章で書いておきましょう。お客さんはオーダー時にストーリーに接することが出来ますし、あるいは食事の待ち時間中に読んでくれるかもしれません。
メニューに載せるストーリーには画像が付いているとなおいいでしょう。ビジュアルの記憶は比較的長期間にわたって記憶に残ることが多いからです。
あるいは飲食店の店主さんやオーナーさんみずからが、ツイッターなどのSNS上で店のストーリーについてつぶやくのも効果的です。その日仕入れた食材にまつわる話や、調理法のエピソードなど、ちょっとした小ネタでも十分でしょう。

大切なのは、その店に関するストーリーを少しずつ積み上げ、お客さんの感情にふれる部分をたくさん作っておく事なのです。

まとめ

ストーリー・物語には人を強く引き付けるパワーがあり、集客力は非常に高いです。飲食店でストーリーテリングマーケティングを取り入れるには以下の3点に留意しましょう。

  1. 料理やメニューにストーリーを紐づけて、付加価値を高める
  2. 飲食店ならではのストーリーを探し、お客さんによるSNSの拡散を狙う
  3. ストーリーを伝える仕組みを作り、お客さんの感情に訴える

味覚や嗅覚に訴える飲食店は、もともとストーリーテリングマーケティングとの相性がいい業種です。ブレのないコンセプトを伝える事により、リピーターのお客さんを育成しましょう。

 

 

アフターコロナにマーケティングが激変

アフターコロナにマーケティングが激変

新型コロナウイルスは世界中の人の生活を一気に変化させました。日常生活はもちろん経済活動そのものも激変し、マーケティングも大きな動きに翻弄されている真最中です。
ここではコロナと共に生きるウィズコロナ時代と、コロナ終息後のアフターコロナにおけるマーケティングを「生活様式の不可逆的な変化」「オンライン消費」「既存客へのアプローチ」の3点から考えましょう。

世界は、アフターコロナを見据えた新しいスタイルのマーケティングを模索する段階に入っているのです。

新しい生活が、マーケティングに不可逆な変化をもたらす

コロナ禍で世界中の人々の生活は大きく変わりました。この変化はコロナが終息した後も継続するという予測があり、多くの人が「コロナがおさまっても以前の消費活動には戻らない」という認識を持ち始めています。

生活の変化は日常生活に必要な商品の選び方や買い方にまで影響を及ぼしました。
たとえば週に3回スーパーへ買い物に行っていた人が週に1回のネットスーパー宅配に変更したり、高齢者がスマホを使いこなしECサイトで買い物をしたりと、これまでとは違った視点で消費をするようになっているのです。
また在宅でのリモートワークに切り替わったことによって自宅にいる時間が長くなり、これまで毎日買っていたコンビニコーヒーをやめて、自宅でドリップするためのコーヒー豆購入に切り替えたという人もいます。

日常生活のさまざまな場面でコロナ以前とはことなる消費活動がすでに始まっており、しかも多くの人が新しい生活様式になじんできています。コロナ以前の生活に完全に戻ることは難しい状況になりつつあるのです。
こういった人々の意識改革を受けて、マーケティングの世界も「アフターコロナにおける新しいマーケティング方法」を探さねばならないでしょう。

オンライン消費の多様化

新型コロナウイルスが日本のビジネスにもたらした、最も大きな変化は以下の2点です。

  1. 企業のリモートワークの推進
  2. 在宅時間の長時間化によるオンライン消費の多様化

それ以前も日本ではリモートワークをすすめよう、という動きはありましたが実際には浸透しなかったのが実情でした。しかしウイルスの感染予防という観点から、一気にリモートワークが実現。それまで具体的に動いてこなかった企業も、政府の緊急事態宣言を受けてやむを得ずにリモートワークを進めることになったのです。

もちろん準備不足のためにリモートワーク開始直後はさまざまなトラブルが起きたようですが、こまごましたトラブルが解消した現在では、リモートワークの利便性があらためて評価されはじめています。
企業側にとっても交通費削減やオフィスの縮小化などリモートワークの利点は少なくありません。そこで緊急事態宣言の解除後もリモートワークを継続する企業が多く、この動きは今後ますます進むと予測されています。
つまり、コロナウイルスが終息した後もリモートワークが働き方の選択肢のひとつとして残るのです。

今まで以上にリモートワークが一般化してくると、消費活動にも多大な変化が訪れるでしょう。売れ筋商品も変化するでしょうし、ECサイトでの買い物がより一層普及すると思われます。
在宅での仕事を持つという生活スタイルの変化がオンライン消費の多様化を進めるにしたがって、マーケティングも多様化に対応せねばなりません。

既存客への再アプローチ

アフターコロナのマーケティングで最も重視すべきなのが「既存客との関係維持」です。
ネットの世界では、これまでの大量消費から「気に入ったもの・こと」を厳選してリピート購入するスタイルが増えてきました。

企業側としても新規顧客を得るために多大な投資をするより、すでに購入履歴のある既存客に働きかけ、別の商品を購入してもらったりサブスクリプションで長期利用してもらったりするほうが効率よく収益を上げられます。新規顧客の開拓には既存客への関係維持に必要な金額の約5倍もの投資が必要だとされており、コスパは決して良くありません。

それよりも購入履歴がある既存客との密なコンタクトを心がけ、サイトへの再訪をうながしたり新商品をすすめたりするほうが購買アクションにつながる可能性が高いのです。

まとめ

誰もが予想もしなかった新型コロナウイルス。ウイルス対策として「新しい生活様式」が欠かせません。アフターコロナのマーケティングを考えるのなら、以下の3点に注意してみましょう。

  1. 生活の変化は不可逆的、コロナ以前には戻らない前提でマーケティングをすすめる。
  2. 在宅時間の長いリモートワークなどで、多様化したオンライン消費に柔軟に対応する
  3. 新規顧客の開拓より既存客のリピートを重視する

アフターコロナの世界では従来のマーケティングの常識が通用しなくなりました。日々はげしく移り変わる状況を読みつつ、柔軟な発想で対応していくことが大切です。

 

CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

Webマーケティングでは、いずれも「実施後の実績評価」が求められます。マーケティング効果を測定するためにはCPA・ROAS・ROI・LTVなどの指標があり、デジタルマーケティング担当者は適切な指標を用いて実績評価をおこないます。

ここでは押さえておきたい指標として「CPA」「ROI」「ROAS」「LTV」の四つを簡単にご説明しましょう。
指標は一つだけ覚えていても足りません。顧客や測定目的によって使い分けなければいけませんので、基本だけでも頭に入れておきましょう。

Webマーケティングの効果を測定するための指標

1.CPA「コンバージョン単価」

「CPA (Cost per Action / Acquisition)」とは、1件のコンバージョンを得るためかけた費用の割合をあらわすものです。
数式としては「CPA = 広告費用/コンバージョン数」で求められます。

CPAのメリットは「手軽に算出できる指標であること」「業種に関係なく広告のパフォーマンスを測定できること」です。算出するために必要なデータは広告費用とコンバージョン数だけですから、顧客からのヒアリングなどはいりません。比較的容易に算出でき、また広告主の業種に関わらず利用できる指標です。

デメリットとしては原価等の要素をふくまずに計算しますので、利益率などは読み取れません。利益率を含む測定には、次の「ROI」が適切です。

2.ROI「投資の費用対効果」

「ROI (Return on Investment)」とは、投資額に対して得られた利益をあらわすものです。ROIが高ければ高いほど、投資に対するリターンが大きかったことを意味します。
ROIは「ROI =(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100(%)」で求められます。

ROIのメリットは「規模の異なる投資でも効果測定ができて比較しやすい」「効果が数値で判断できるので事業継続の判断が容易になる」の2点です。
企業の投資は案件ごとに異なりますが、ROIをみれば各案件の投資効果を見比べることができます。ROIの高い事業は投資効果が優れているため継続すべきでしょうし、逆にROIが低い事業は改善をおこなって費用対効果を上げる必要があります。

ROIのデメリットは「広告に対する売上がわかりにくい」点です。投資効果は読み取れますが売上効果を見るには、次の「ROAS」が適しています。

3.ROAS「広告費回収率」

「ROAS (Return on Advertising Spend)」は、広告費用の回収率または、広告の費用対効果をあらわします。広告出稿後の売り上げ効果を見るものです。ROASとROIはどちらも「支払った費用に対する効果」をあらわすものですから、数値が高ければコスト以上のリターンがあったことになります。
ROASは「広告からの売上÷広告費×100%」の数式で求められます。これで広告費1円当たりの売上額が分かります。

ROASのメリットは「出稿費に対して得られた売り上げが一目で見える」点です。測定したROASが100%以上であれば、その広告は支払った広告費以上の売り上げをもたらしたことになります。

ROASのデメリットは「売上効果が分かっても、利益が出ているのかわからない」点。企業としては売り上げ効果以上に「利益は出たか?」という事を重視しますから、ROASよりもROIの測定を優先することもあります。

LTV「顧客生涯価値」

「LTV(Life Time Value)」とは、1人あるいは1社の顧客が取引を始めてから終了するまでのあいだにもたらす利益の総額です。「顧客生涯価値」とも言われ、顧客1人から得られる平均の売上をあらわします。
数式としては「LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」から算出します。

LTV測定のメリットは、「既存客からの売り上げの上限が推測できる」こと。
Webマーケティングにおいては既存客からどれだけの売り上げを得られるかが勝負の分かれめになります。なぜなら既存顧客との関係を良好に保ち、より多くの商品をより長く購入してもらうことが安定的な収益につながるからです。
新規顧客の獲得コストは「1:5の法則」に見られるように、既存客の維持コストよりも高額です。コストパフォーマンス面から言っても既存顧客との関係を堅持し拡大していくほうが、利益率が高いのです。

LTVのデメリットは、顧客とのコミュニケーションを確保するマネジメント= CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)が必要であること。
顧客の購買履歴やクレーム履歴を把握しておくことでより緊密な信頼関係を生み出し、LTVを高めるよう努めねばなりません。

まとめ

Webマーケティングでは実施後のデータ分析が欠かせません。実績評価のための指標として、以下の4つは押さえておきましょう。

  1. CPA(コンバージョン単価)=1コンバージョンあたりにかかった費用
  2. ROI(投資の費用対効果)=投資額に対して得られた利益
  3. ROAS(広告費回収率)=広告の費用対効果
  4. LTV(顧客生涯価値)=顧客それぞれがもたらす利益の総額

各指標はあらわす意味合いが異なりますので、顧客が求める分析によって使い分けます。的確な実績評価をおこない、同時に、必要に応じて改善策を提案できるようにしておくといいでしょう。

 

コロナ禍で成功した飲食店マーケティング

コロナ禍で成功した飲食店マーケティング

世界中が想像もしていなかった新型コロナウイルス。各国での感染拡大が止まる様子はなく、日本でも二波・三波への警戒感から飲食店は苦境を強いられています。
ここではコロナ禍でも成功しつつある飲食店について「デリバリー、テイクアウトで新規開拓」「新規客のリピーター化」「コンテンツマーケティングによる顧客育成」の3点からご説明しましょう。

コロナ禍にあっても従来どおりの売り上げを維持できている店舗もあり、マーケティングによって営業成果に大きな差が見られるのです。

デリバリー、テイクアウトで新規顧客を開拓

コロナウイルスの感染拡大防止をうけて、多くの飲食店が営業自粛を余儀なくされました。とくに居酒屋系やファミレスなどは大きく収益を下げており、売り上げは前年の同期比でみると半減しているところもあります。

いっぽうでテイクアウト中心のマーケティングを進めてきたファストフード店の多くは堅調に業績を維持しています。ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドでは減収はほとんど見られません。
このほか新規顧客開拓のために、ウーバーイーツを利用したデリバリーやテイクアウトに大きく切り替えた飲食店も多数あります。
ただしデリバリーやテイクアウトでは、従来のように来店して飲食をしてもらうほどの売り上げが見込めず、大きくダウンしているケースが多いようです。

やはりデリバリーやテイクアウト中心では飲食店は無理なのか…と思うかもしれませんが、「新規顧客のリピーター化」と「顧客の育成」の2点に絞ったマーケティングを展開していけば十分に活路を見出す可能性があるのです。

最重要課題は既存客のリピーター化

デリバリーやテイクアウトでの収益アップには「既存客リピーター化」が最も有効な方法です。ここではすぐにできる対策として以下の2点を考えてみましょう。

  1. リピート利用の既存客の接客をパーソナライズして対応
  2. 同梱チラシで推しメニューやテイクアウトメニュー表を配布

既存客をリピーターにするには顧客に「特別感」を抱かせる必要があります。
既存客に対しては以前の注文からメニューの好みを割り出し、顧客それぞれにパーソナライズしたおすすめメニューを紹介するなどして「あなたのためだけのサービス」を強調していくといいでしょう。

またデリバリーやテイクアウトから実店舗に予約来店があったときは、サービスメニューを用意しておくなど「あなたは特別な顧客です」という店側のメッセージがしっかりと伝えるとリピーター化が早く進みます。
テイクアウトの場合は「同梱チラシ」が効果的。
テイクアウトメニューとともにチラシを入れてコロナ禍で変わった実店舗の営業時間を伝えたり、テイクアウトのメニュー表を入れたりしましょう。
スタッフや店の紹介など、ストーリーが伝わる文章をチラシ内につけておくのもおすすめです。

接客のパーソナライズ化や同梱チラシなどは、それほどコストをかけなくても始められます。新規顧客のリピーター化に向けて、すぐに試してみましょう。

コンテンツマーケティングを利用した顧客育成

コロナ禍の生活においてはネットを介した情報収集が急増しました。それまであまりネットを利用していなかった高齢者層を中心として、在宅で情報を得る「ネット」の利用が従来よりも増えた印象があります。
そこで営業効果が見込めるのが、「コンテンツマーケティング」です。

「コンテンツマーケティング」はネット上の読者に向けて役に立つコンテンツを無料で発信し、コンテンツを読んでもらう・動画コンテンツを見てもらうことを通じて、企業ブランドへの顧客のファン化を狙うマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングは中小規模の飲食店でも始めやすいのが大きな利点。とくにツイッターやインスタグラムといったSNSを利用する方法は、個人で運営する飲食店でも気軽に始められるのでおすすめです。

ただし、コンテンツマーケティングでは継続して記事を発信し続けることが重要。継続することで顧客の中に信頼感を生みますから、一度始めたら途中でやめないことだけは必要です。
なかなかうまく軌道に乗らない場合は外注のコンテンツマーケティング業者に業務を委託することもできますから、チャレンジする価値のある顧客育成方法です。

まとめ

コロナかで大きな転換を迫られている飲食店。新しい生活様式に合わせていく為には、以下の3点をふまえたマーケティングを始めましょう。

  1. デリバリー・テイクアウト・実店舗の相互作用で収益をあげるスタイルに変更
  2. 既存客はパーソナライズした接客でリピーター化
  3. コンテンツマーケティングで新規客を開拓・ファン化

大勢があつまりにくいコロナ禍においては、飲食店は従来の営業スタイルからの脱却を強いられています。ネットを利用した顧客獲得・育成に力を入れて大きな時代の変化を乗り切りましょう。

 

商品名を変えてバカ売れ(大ヒット)した商品

商品名を変えてバカ売れ(大ヒット)した商品

商品のネーミングはお客さんにアピールするための大切なもの。簡単に変更することはできませんが、もし名前を変えるだけで爆発的に売れるとしたら、商品名の変更はぜひともやるべきでしょう。

ここではおなじみの「シュレッダーハサミ」を例にとって、「商品名の変更」と「想定外の使用方法」「柔軟なカスタマイズ対応」の3点から、視点変更の重要性を考えてみました。
用途とネーミング、ちょっとしたパッケージ変更で「大化け」する商品もあるのです。

もとは「きざみ海苔用ハサミ」だった人気アイテム「シュレッダーハサミ」

「シュレッダーハサミ」とは、個人情報が記載されている書類などを細かく刻んで切って処分するためのハサミです。使い方は一般的なハサミと同じですが、ハサミの歯が何枚か重なった形をしており、一度切っただけでとても細かく切れるのでシュレッダーがわりに使用できるのです。

しかしこのハサミは、もともと料理で使う「きざみ海苔」を作るアイテムとして販売されていました。きざみ海苔を自宅で作りたい人からの需要はあるが購買層がとても限定的という商品でした。
しかしあるお客さんが「自宅で、シュレッダーがわりに封筒やはがきなど個人情報が記載されているものを捨てる前に切り刻むのに便利」と言ったことから急展開。
「シュレッダーハサミ」として売り出したところ、手軽さからたちまち人気に火が付き、急激に売り上げが上がったのです。

発想の転換が売り上げを生む

このように、本来の使用用途とはまったく別の使い方で人気が高まるアイテムは珍しくありません。
たとえば文房具のポストイット。こちらも強力な接着剤を作る過程で「非常に粘着性が高いがすぐはがれる」という一長一短の接着剤ができてしまったことから生まれた商品です。接着剤としてはすぐにはがれてしまうために利用できませんでしたが「貼った後に、いつでも好きなように剥がせる」点がメリットに転じて、付箋・ポストイットとなりました。

シュレッダーハサミもポストイットも、マーケティング上から見れば「失敗作」です。
しかし実際のユーザーからの声を丹念に拾い上げていくと、失敗作のなかに別の可能性を見いだせる事があります。本来は想定されていない使用方法が商品の新しい機能となり、本来の用途を凌駕してしまった好例なのです。
さらにシュレッダーハサミは、売り出してみたら予想以上に売り上げが伸びました。つまりだれも考えていなかったような客層・需要が存在していたということになります。

このように発想の転換で売り上げを生み出すには顧客の声を聞くことが重要ですし、声として社内に入ってきた想定外のアイディアに即座に対応する柔軟性も必要でしょう。

発想の転換+カスタマイズで大ヒット商品に

発想の転換をする、本来の用途とはまったく違う使用方法を採用して新しい商品として売り出す。
簡単なことのように思えますが、なかなかできません。

なぜなら商品を開発しているひとや「きざみ海苔ハサミだ」とすでに認識しているひとの頭の中には、他の目的に転用すると言う発想がないからです。そのため、顧客からの声として聞こえてきた情報もそのままスルーしてしまう恐れがあります。
発想の転換をするためには、日ごろから思考を柔軟にしておかねばなりません。またどんな物事もそのまま受け入れて再検討するという、思考上の癖をつけておく必要もあるのです。

さらに新しい商品として売り出すときには、ちょっとしたカスタマイズをほどこすとより効果的です。
シュレッダーハサミの場合は持ち手の色を変えてパッケージを新しくしただけで爆発的に売れましたが「ラカタンバナナ」というバナナでは「新しい発想を売り込むための新パッケージ」が役に立ちました。
「ラカタンバナナ」とはフィリピンでよく食べられている種類のバナナで、栄養価が高くクエン酸が豊富に含まれています。しかし酸味があるバナナであまり売れませんでした。
しかしクエン酸がエネルギー代謝に効果的な点から「スポーツ時に役立つバナナ」ということで「スポーツバナナ」と名付けてシールを貼り、売り出したところ劇的に売り上げも認知度も上がりました。
価値観を「味」から「機能性」にかえるという発想の転換とパッケージの変更が功を奏した一例です。

まとめ

どのような商品にも「化ける」可能性が秘められています。発想の転換で商品をリニューアルしたい場合は、以下の2点を考えてみましょう。

  1. ユーザーの声として、本来の用途以外の使用方法を吸い上げる
  2. 柔軟に方向転換をして、パッケージやデザイン変更などのカスタマイズで効果的に売り出す

どちらも「まったく新しい発想を素直に受け入れる」という企業側の柔軟性が求められます。思考の方向を百八十度転換することは簡単ではありませんが、あらためて商品を見直してみると新しい価値・用途が見つかるでしょう。

 

共感マーケティングの成功例

共感マーケティングの成功例

マーケティングにはさまざまな手法があり、なかでも記事や動画コンテンツなどを通じてネットユーザーの共感を得ることで収益につなげるのが「共感マーケティング」です。
ここでは共感マーケティングの基本を説明したうえで、具体的な成功例を2件ピックアップしました。

共感マーケティングでは、企業のブランドコンセプトや商品コンセプトを明確に伝えることがとても大切です。
ネットユーザーの感情に寄り添う内容のコンテンツを発信することで、結びつきの強い顧客を育成していくことができるのです。

モノの先にある「コト」に価値を見出す共感マーケティング

ネット上にいる潜在的顧客は商品そのものを買おうと思うだけでなく、「商品にかかわる物語」もふくめて購入したいと考えています。そこにあるのは、企業や商品・サービスと「感情でつながる」消費です。
しかし商品やサービスに、ただ関連するストーリーを紐づけても共感を得られやすいコンテンツは制作できません。

共感マーケティングを効率的に進めていくためには、以下の3つのポイントが重要です。

  1. マーケティング対象のペルソナを作り込み、ターゲットを明確にする
  2. 設定したペルソナが共感しやすいポイントを考える
  3. 共感ポイントにそってコンテンツを作成・テキスト・動画コンテンツ全体に統一感を持たせる

この3点を基本に置き、潜在的顧客の視点に立って共感マーケティングを始めましょう。

顧客が楽しいと思うこと・顧客自身が参加したいと思うこと、顧客が感情的に同意できることを中心にコンテンツを組み立てていくと、共感マーケティングはいっそうの集客力・訴求力を持つことになります。
狙っている潜在的顧客にしっかりしたブランドコンセプトがハマれば、一気に売り上げにつながるマーケティング方法です。

ブランドコンセプトを徹底的に伝えて共感を喚起する「良品計画」

「良品計画」は、無印良品やMUJIブランドの商品開発と製造・販売を展開する会社です。現在では雑貨だけでなく、住宅や家具、衣類、食品などの販売店を国内外で運営しています。

良品計画の共感マーケティングで重視されているのは「良品計画のブランドコンセプトに共感・賛同し、応援してもらえる人を増やすこと」です。
たとえば主要ブランド「無印良品」の動画コンテンツの一つでは、人気商品であるスニーカーの製造工程がドキュメンタリー映画のように映し出されます。動画にはナレーションもなく、宣伝・広告的な内容はほとんどありません。しかし「無印良品」のブランドコンセプトである、「ユーザー目線に立ってていねいに商品を作る」ことが分かりやすく伝えられています。

「良品計画」のコンテンツは、企業理念や「なぜこの商品を作ったのか」が見ている人に伝えるためのものです。
広告色を排除したコンテンツですがユーザーの共感を得やすく顧客育成につながるものなのです。

スタイリッシュな世界観をぶれずに伝えることで共感を得る「土屋鞄製造所」

「土屋鞄製造所」は皮革製品の企画・製造・販売をしている企業です。もともとはランドセルの制作から始まった会社ですが、フェイスブックや自社のECサイトを立ち上げてから急激に売り上げをアップさせました。

土屋鞄が共感マーケティングで成功した理由は「明確な世界観・ブランドコンセプト」があったからです。
初めはショッピングモール型のECサイトへ出店していましたが、「土屋鞄の世界観」を十分に伝えきれないと自社ECサイトへ方向転換。それからはフェイスブックやSNSを使い、スタイリッシュな世界観をシャープに伝達することに集中しました。

しかし、ECサイトやSNSなど多数のツールを並行して使うコンテンツ発信では「世界観のブレ」が起きやすく、伝えたいことがバラバラになりがちです。世界観のブレを防ぐために、土屋鞄では特定の部署の主要メンバーがECサイトやSNS、カタログ、ブログのコンテンツ内容をすべてチェックしています。統一された世界観を維持するためです。

発信されたブランドコンセプトにブレがないために、顧客は安心して土屋鞄のブランドコンセプトに共感でき、収益に直結するのです。

まとめ

商品のもつ物語やコンセプトで潜在的顧客に共感してもらうマーケティング手法では、企業の「理念」が大きく関係してきます。マーケティング展開の際には、以下の3点に留意しましょう。

  1. ターゲットを絞り込み、特定の共感ポイントにそってコンテンツを制作・発信する
  2. 売り上げと同時に、商品や理念に共感してくれるファンの育成をこころがける
  3. 明確な理念を、ブレずに発信し続ける

現在は消費行動が大きく変化している時代です。
これまでのように大量消費ではなく、モノの向こうにある「コト=物語・ストーリー」に価値が見いだされつつあります。共感性の高いコンテンツの発信で、ストーリーを含めた販売力をアップさせましょう。

 

共感マーケティングの強み

共感マーケティングの強み

Webマーケティングで欠かせないのが、SNS上での「共感」です。
Webマーケティングでは、読者による「共感」が企業への好感度と信頼感を生み、商品やサービスの売り上げにつながります。

ここでは読者の共感を引き出す「共感マーケティングの説明」から始めて「顧客と企業の信頼感」「差別化しにくい業界での共感マーケティング」について考えていきましょう。
読者の共感を得るには、読者の「情緒」に訴えかけるのが有効なのです。

共感マーケティングとは

「共感」とは、読んだり見たりした他人の意見・感情などに同意すること、または同意する「感情」のことです。人間が共感するのは本や映像作品だけではありません。わたしたちが、日ごろよく接しているWebの世界でも「共感」が起きています。

たとえばWebでみた動画コンテンツや記事の内容に同感したり同意したりすることは、共感していると言う意味です。人間は無意識のうちに共感していることが多く、気が付かないうちにSNS上のシェアや「いいね」をつけることで同意や共感・賛意をあらわしています。
そこで、共感マーケティングでは商品・サービス・ブランドコンセプトの「情緒的価値」が重要になります。

従来のマーケティング手法では性能やコスパなど「機能的な価値」を伝えることを優先してきました。
しかし共感マーケティングでは、読者の感動や共感など感情の動きを喚起して、そこから「買ってみよう」という行動をうながすのが狙いなのです。

価値観の共有が企業への信頼感となる

共感マーケティングの目的は、ユーザーとの間に「価値観の共有」をすることです。

Web上にいる潜在的顧客の多くは、一般的に流行している「トレンド」を意識しつつ、どこかで「価値観を共有できる商品・ブランド」をさがしています。それは「自分だけのもの・自分が見つけたもの」を探しているといってもよく、「みんなが持っているから」というより「私が見つけ出した、私が選んだもの」を好む傾向があります。
なぜなら「私が見つけたもの」の背後には、ユーザーが共感できるブランドコンセプト・商品コンセプトがあるからです。物語性を背後に持った商品・サービスはユーザーの情緒を刺激し、共感を生みます。そして共感できる商品を購入するのは自己肯定の一環でもあり、ユーザーの感情に深く揺り動かすことができるのです。
ユーザーにとってはエコやエシカルなど企業コンセプトを共有できる商品が魅力的ですし、購入にも抵抗がありません。そして共感できる商品を多く販売している企業に信頼感を持つようになり、やがて熱心な顕在的顧客となって売り上げを支えてくれます。

共感マーケティングの真髄は、ユーザーの情緒・感情を揺り動かすことで忠実な顧客を育成することにあるのです。

差別化が難しい領域こそ、共感マーケティング

共感マーケティングの強みは、「差別化が難しい分野でこそ集客力を発揮する」点です。

従来のマーケティングでは数値で機能性をあらわすことで、他社製品との比較検討をうながしてきました。数値は検討するには有用なものですが、ユーザーは比較をするうちに「どれも高性能に思えて、どれを買ったらいいのかわからない」という事態におちいります。
つまり機能性だけでは、潜在的顧客は購買に踏み切れないのです。

しかし共感性をベースにしたマーケティングでは、機能性よりも情緒性が優先されます。商品への「気持ち」が優先されるのです。そこでは「AとBの違いはあまりよくわからないが、Aのほうがなんとなく好きだから買おう」という流れができています。
ユーザーが「なんとなく好き」だと感じる商品の背後には、感動を共有しやすい物語・ストーリーがひそんでいます。ユーザーは無意識のうちに商品が持つ物語に感情を動かされ、その物語ごと商品を支援するようになります。
これを繰り返せば、ユーザーは購買アクションを通じてどんどん企業に対する信頼感を強めてくれ、次第に企業との「一体感」を感じ始めます。こういった意識の流れは、機能性を紹介するマーケティングでは得られにくいものです。
情緒・感情を介してつながっているから、差別化がしにくい分野でも強力な集客が可能なのです。

まとめ

共感マーケティングはユーザーの感情と結びついて購買アクションをうながします。以下の3点に特に注意して進めていきましょう。

  1. 商品・サービスに、ユーザーの共感を得られやすい「情緒的価値」を付加しておく
  2. 価値観を共有することによって、ユーザーと企業との間の信頼関係を構築する
  3. 差別化しにくい分野でこそ、共感・情緒的価値を利用する

共感という感情の動きは人間の根源に根ざしたものです。商品やブランドコンセプトに共感を持ってもらえれば非常に強固な信頼関係が構築できます。差別化しにくい分野・商品こそ共感マーケティングを利用しましょう。

ストーリーテリングマーケティングの成功例

長いあいだ採用され続けている王道のマーケティング手法には、確実な集客力があります。物語・ストーリー性を核にした「ストーリーテリングマーケティング」は、シンプルな手法ながらバリエーションが豊富で、ユーザーへの訴求力も高い方法です。

ここではストーリーテリングマーケティングの説明とあわせて、実際の成功例を3つご紹介しましょう。「アマゾン」「apple」などの巨大企業も物語を通して、自社のコンセプトや商品の魅力を伝えているのです。

ストーリーテリングマーケティングとは

「ストーリーテリングマーケティング」とは、企業のブランドコンセプトや商品・サービスを「物語」を使ってユーザーに印象づける手法です。

太古の昔から物語(ストーリー)には人を強く引き付ける力があり、また見た人・聞いた人の記憶に深く、長く残るという利点があります。
商品やサービスの紹介は具体的な数値や機能データを伝えたほうが効率的な気がしますが、人間は論理的・数値的なデータだけでは物を購入する気にはなりにくいもの。
物語の吸引力を通じて「情緒」にアプローチして、より深い「共感」をよびさまし、購入アクションにつなげることがストーリーマーケティングの目的です。

それでは、実際のストーリーテリング成功例を企業ごとにご紹介しましょう。

アマゾンを利用した後の幸せな風景を表現する「アマゾン」

アマゾンは、アメリカのウェブサービスおよび巨大ECサイトの会社です。アマゾンの場合、「アマゾン→幸せを提供する企業」というコンセプトを、ドラマという情緒的に受け入れやすい手法で表現しているのがポイントです。

アマゾンのCMは物語をたくみに使い、情緒的に企業コンセプトを伝えているのが大きな特徴。
物語を通じて「アマゾンを利用すると、こんなふうに”幸せな気持ち”になれます」と言うことを、分かりやすく伝えています。
一般的なマーケティングなら、アマゾンの利点である「便利さ・取扱商品の豊富さ・送料の安さ」などを売りこみのポイントとして、他社との比較のために数値を駆使した論理的なコンテンツを制作するのが王道でしょう。
しかしアマゾンは、あえて合理性や論理性を排除して「幸せな物語」を見せることによって視聴者のなかの「情緒」に訴えかけ、記憶に強く残るマーケティングを展開しているのです。

魅力的なユーザー像を通して購買意欲を高める「Apple」

Appleは、アメリカのインターネット関連製品およびソフトウェアなどを開発・販売している多国籍企業です。
企業発足当初から、物語を非常に上手に使ったマーケティングが得意で、企業コンセプトの「自分らしく生きること」の支援を訴えるCMを多数制作しています。Apple製品を使うことで世界に革新をもたらすというメッセージを発信しているのです。

たとえば「Macの向こうからー新海誠」というCMでは、Apple製品について語られている部分はわずかしかありません。製品の魅力や性能よりも「Macを使って、こういうスタイルで作品を作っているひとがいる」と言う点に焦点が当てられており、CMの主人公はあくまでも映像作家の新海誠さんです。
しかし製品やサービスの具体的な機能については語らないのに、Macという商品がくっきりと記憶に残るのがAppleのストーリーマーケティングの特徴です。

Apple製品を使っている人の魅力そのものが、非常に力強いストーリーとなって視聴者にアピール。その結果として製品を買ってみたいと思わせることに成功しています。

共通の悩みを提示して共感性を高める「アフラック生命」

がん保険・医療保険大手のアフラック生命。こちらは実際にがんにかかったことのある人の物語を中心として、見る人の共感性を高めていくストーリーテリングマーケティングです。

強く印象に残っているのが、お笑い芸人の宮迫博之さんを起用したCM。自分自身ががんになったときの体験談を語ったもので、事実だけが持つリアルさ、力強さが特徴です。
内容は、がんに直面した時に受けたショックや家族をもつ父親としての経済的な不安など、「がんになったら誰でも直面する悩み・問題点」が中心。問題提起後に、解決策としてがん保険を購入すべき理由がシンプルに伝えられており、すんなりと必要性が理解できる仕組みです。

がんが身近な病気になった現在だからこそ、アフラックのがん保険CMは見る人の共感を得やすいのでしょう。

まとめ

「物語」を通じて、商品の魅力を伝えるのがストーリーテリングの手法です。伝えるときには、以下の2点を強調して進めるようにしましょう。

  1. 合理性ではなく、ユーザーの情緒に訴える「物語」を軸にして商品紹介を展開する
  2. 問題提起→解決の物語を通じて、ユーザーの共感性を高める

ストーリーテリングの強みは、どの業種でも効果を発揮できる点です。ブランドや商品にかかわる物語を紹介することによって、企業への好感度を高めてユーザーの購入意欲を促進しましょう。

 

ストーリーテリングマーケティングの強み

マーケティングの世界は、つねに新しい手法を開拓し続けています。同時に、昔ながらのベーシックな手法を磨き上げて、より進化させて採用することもあるんです。
ここでは「物語」を使ってマーケティングをする「ストーリーテリングマーケティング」の利点についてご説明しましょう。

ストーリーテリングマーケティングの強みは「吸引力」と「拡散力」です。物語性が強いほどユーザーを引き付ける事ができ、SNS上で広く拡散していくことになります。

ストーリーテリングマーケティングとは

「ストーリーテリングマーケティング」とは、ブランドや商品およびサービスに関する「物語」を訴えることで、ユーザーの共感を生み出して販売成果を上げるマーケティング手法です。

一般的にマーケティングと言えば、商品やサービス、あるいは企業ブランドを「性能や機能、優位性」から紹介して、購入をうながします。その際、マーケティングの前面に出て来るのは商品・サービスの具体的なデータです。
ある商品の機能や優位性を説明するには、数値での比較が一番わかりやすい・ユーザーに伝わりやすいため、「データ重視」のマーケティング手法には「スピーディな伝達能力」と言う利点があります。他社製四より○○円安い、耐久性が高い、コスパが良いなどの機能的な利点は、数値でこそインパクトがある説明ができます。

いっぽうストーリーテリングマーケティングの場合は、商品やサービスの優位性を訴えるのに数値ではなく「物語」を利用します。商品の開発秘話や自社サービスにまつわるエピソードなどを盛り込み、ユーザーの「情緒」に訴えて、共感を引き出すのが目的です。
なぜ情緒・共感に訴えるのかというと、記憶と結びつきやすいからです。感情を揺さぶられた小説は長く覚えているものですし、共感度の高いCMは記憶に残ります。

このように「物語」を核としたストーリーテリングマーケティングでは、ユーザーに強い印象を与えられます。いい物語を持つCMは長く深く記憶され、企業イメージと一体化して商品購入を促進していくのです。

ストーリーテリングマーケティングには、つよい吸引力がある

ストーリーテリングマーケティングのもっとも大きな利点は「物語の吸引力」です。

小説でも映画でも、起承転結のあるストーリーや心温まるストーリーにはつい引き込まれてしまうもの。多くのユーザーを引き付けて記憶に長く残るうえ、マーケティングを展開している企業やブランドのイメージの底上げもしてくれます。そして物語を通じて企業にプラスイメージを持ったユーザーは、企業サイトをじっくりと見てくれ、コアなファンに成長します。そこから商品のリピート購入をしてくれたり堅実に商品やサービスを購入する優良な顧客になってくれたりするのです。

商品にまつわる「物語」を核にしたストーリーテリングマーケティングが成功すると、ネット上の潜在的顧客を上手に育成することができます。顧客との間に、長期間にわたって信頼関係を維持できる基盤ができるのです。

ストーリーマーケティングは広がりを持つ

ストーリーマーケティングのもうひとつの強みは「拡散力」です。

ネットの世界は個人が自由に情報を発信できるSNSの登場で、大きく変わりをしました。それまでの「特定の人が情報を発信し、それ以外は受け取るだけ」という形から、フェイスブックやツイッター、インスタなどのSNSツールであらゆるひとが簡単に情報を「発信」できる形へ進化しました。
その結果「自分がいいと思った情報、共感できたコンテンツ」を他者と共有することも、重要な自己表現のツールになったのです。
自分が見て共感できた動画CMなどをSNS上で共有・拡散する、受け取った情報を再び拡散すると言う流れの中で、多くの人がスピーディに情報を共有することになり、企業に対するイメージも一気に広がります。

「物語」はとくに人の共感を引き出しやすいツールです。
自分がハマって面白く感じたCMやコンテンツを誰かに教えたい・面白さをシェアしたいという意識の高まりを利用するのがストーリーテリングマーケティングです。

まとめ

ストーリーテリングマーケティングは、昔からよく使われている王道の手法です。「ユーザーの共感」を引き出して寄り添うことで、企業およびブランドは顧客と長期的な関係を結ぶことができます。ストーリーマーケティングを展開するときには、以下の3点を踏まえて進めてみましょう。

  1. ユーザーの「共感」を生む物語で、購入意欲を刺激する
  2. 物語を通して、ユーザーの企業好感度を揚げる
  3. SNSを利用した「物語の拡散」で、企業や商品の知名度・好感度を上げる

ストーリーテリングマーケティングでは、物語における「伝播力の強さ・拡散力の速さ」という特徴を生かす方法です。あえてデータや論理による情報提供を控えて、商品に関するストーリーに特化しましょう。