Webマーケティングの手法は、じつにさまざまです。
王道・正統派の手法もあれば、ややリスキーであっても短期間に大きな反響を得る手法もあります。
Web上で多大な賛否を呼ぶ「炎上」を利用した「炎上マーケティング」は、成功すれば一気に知名度が上がる方法です。
ここでは「炎上マーケティング」の手法と、「反感を買いにくい炎上マーケティングのコツ」「炎上から好感度への誘導法」を検証してみました。
いろいろな意味で反響の大きい炎上マーケティング。諸刃の剣ではありますが、使い方次第でうまくいく側面もあるのです。
炎上マーケティングとは
「炎上マーケティング」とは、Web上であえて批判を受けそうなコメントを発信したり、コンテンツを配信したりすることで注目を集めて売り上げ増をねらう手法です。
炎上マーケティングの利点は以下の2点があげられます。
- 商品や企業の知名度が一気に上がる
- SNSでの拡散やメディアへの露出でサイトアクセス数が急激に上昇する
炎上マーケティングの目的は、商品やサービス、店舗の宣伝です。
一般的なWebマーケティングの方法では知名度を得るまでに時間がかかることが多いですし、巨額の資金投下が必要になります。
企業規模によってはそれほど多大なお金が宣伝・広告費としてかけられない…という事情もあり、あえてWebユーザーの感情をあおるような内容のコメントやコンテンツを投稿して注目を集めようとするケースもあるのです。
しかし炎上マーケティングはWeb上で多大な批判を浴びるリスクもあるために実施がむずかしいといえます。
反感を買いにくい炎上マーケティングのコツ
反感を買いにくい炎上マーケティングのコツはら「下品でない」「賛同できる」と感じられるような要素をコメントやコンテンツに入れ込んでおくことです。
たとえば、炎上マーケティングの稀有な成功例と言われるルーマニアのチョコレート菓子「ROM」のケース。
「ROM」はチョコレート菓子のパッケージに長年、自国ルーマニアの国旗をモチーフとしたデザインを採用してきました。しかし採用後に時間がたつうち「パッケージデザインかっこよくない」「ダサい」と受け止められるようになり、売れ行きも減少。
そこで実施したのが「パッケージデザインを、あえてアメリカ国旗のモチーフに変更」すると告知する炎上マーケティングです。
テレビCMやWeb上での告知には多大な反響があり、Web上でもデザイン変更についての議論が白熱。「ROM」への関心は急激に高まりました。
このタイミングでROMの炎上マーケティングは第二段階にステージアップ。
「大丈夫です!実はあれはジョークでした!」と報告し、従来どおりのルーマニア国旗デザインを継続すると発表。
売り上げは急上昇して国内シェアを取り戻すこともできました。
このようにWebユーザーからの賛同を得るルートをあらかじめ確保しておけば、炎上マーケティングで想定以上の効果を上げることも可能なのです。
炎上から好感度への誘導法
しかし「ROM」の炎上マーケティングは稀有な例です。
実は炎上マーケティング効果は一時的なものにすぎません。
サイトのPVや企業および製品の知名度は急激に上がりますが、その後はWebユーザーからの反感が長く続くことがほとんど。結果的に企業の業績・売り上げにとってプラスになるとは言いにくい手法です。
一時的な注目と引き換えに大きな批判を生むリスクをつねに背負っている方法だといえるでしょう。
そこで考えてみたいのが「炎上から応援要請型の自虐マーケティングへ誘導する方法」です。
「自虐マーケティング」というのは、自社製品などのあえておとしめることで注目を集める手法。
炎上マーケティングと同じく企業ブランドやイメージに傷がつくリスクがありますが、ユーザーからの支援をもとめる方法をとると、逆に若年層などから面白がられてSNSで一気に拡散していくことがあります。
例としては三重県にあるテーマパーク「志摩スペイン村」があげられます。
テーマパークではありますが比較的すいていることを逆手に取り「すいているから、映え放題」というキャッチフレーズを自社サイトに載せて、インスタ映えを気にする若い世代からの注目を集めました。
その結果、「すがすがしいほどに自虐的」とSNSで一気に拡散され、結果的に来場者が増えて収益につながった例です。
まとめ
多くのWebユーザーの注目を集められる炎上マーケティング。しかし危険度が高い点を踏まえ、実施時には以下の2点に十分留意しましょう。
- Webユーザーに受け入れられるために「下品でない」「賛同できる要素のある」炎上をねらう
- 炎上と自虐マーケティングを併用するなど、初めからユーザーの感情の落としどころを作っておく
炎上マーケティングで注目されてもコンバージョンにつながるかは別問題です。
実施前に市場の状況や広告効果をしっかりと把握・検討して、事前にリスク計算をしておきましょう。