新型コロナウイルスは世界中の人の生活を一気に変化させました。日常生活はもちろん経済活動そのものも激変し、マーケティングも大きな動きに翻弄されている真最中です。
ここではコロナと共に生きるウィズコロナ時代と、コロナ終息後のアフターコロナにおけるマーケティングを「生活様式の不可逆的な変化」「オンライン消費」「既存客へのアプローチ」の3点から考えましょう。
世界は、アフターコロナを見据えた新しいスタイルのマーケティングを模索する段階に入っているのです。
新しい生活が、マーケティングに不可逆な変化をもたらす
コロナ禍で世界中の人々の生活は大きく変わりました。この変化はコロナが終息した後も継続するという予測があり、多くの人が「コロナがおさまっても以前の消費活動には戻らない」という認識を持ち始めています。
生活の変化は日常生活に必要な商品の選び方や買い方にまで影響を及ぼしました。
たとえば週に3回スーパーへ買い物に行っていた人が週に1回のネットスーパー宅配に変更したり、高齢者がスマホを使いこなしECサイトで買い物をしたりと、これまでとは違った視点で消費をするようになっているのです。
また在宅でのリモートワークに切り替わったことによって自宅にいる時間が長くなり、これまで毎日買っていたコンビニコーヒーをやめて、自宅でドリップするためのコーヒー豆購入に切り替えたという人もいます。
日常生活のさまざまな場面でコロナ以前とはことなる消費活動がすでに始まっており、しかも多くの人が新しい生活様式になじんできています。コロナ以前の生活に完全に戻ることは難しい状況になりつつあるのです。
こういった人々の意識改革を受けて、マーケティングの世界も「アフターコロナにおける新しいマーケティング方法」を探さねばならないでしょう。
オンライン消費の多様化
新型コロナウイルスが日本のビジネスにもたらした、最も大きな変化は以下の2点です。
- 企業のリモートワークの推進
- 在宅時間の長時間化によるオンライン消費の多様化
それ以前も日本ではリモートワークをすすめよう、という動きはありましたが実際には浸透しなかったのが実情でした。しかしウイルスの感染予防という観点から、一気にリモートワークが実現。それまで具体的に動いてこなかった企業も、政府の緊急事態宣言を受けてやむを得ずにリモートワークを進めることになったのです。
もちろん準備不足のためにリモートワーク開始直後はさまざまなトラブルが起きたようですが、こまごましたトラブルが解消した現在では、リモートワークの利便性があらためて評価されはじめています。
企業側にとっても交通費削減やオフィスの縮小化などリモートワークの利点は少なくありません。そこで緊急事態宣言の解除後もリモートワークを継続する企業が多く、この動きは今後ますます進むと予測されています。
つまり、コロナウイルスが終息した後もリモートワークが働き方の選択肢のひとつとして残るのです。
今まで以上にリモートワークが一般化してくると、消費活動にも多大な変化が訪れるでしょう。売れ筋商品も変化するでしょうし、ECサイトでの買い物がより一層普及すると思われます。
在宅での仕事を持つという生活スタイルの変化がオンライン消費の多様化を進めるにしたがって、マーケティングも多様化に対応せねばなりません。
既存客への再アプローチ
アフターコロナのマーケティングで最も重視すべきなのが「既存客との関係維持」です。
ネットの世界では、これまでの大量消費から「気に入ったもの・こと」を厳選してリピート購入するスタイルが増えてきました。
企業側としても新規顧客を得るために多大な投資をするより、すでに購入履歴のある既存客に働きかけ、別の商品を購入してもらったりサブスクリプションで長期利用してもらったりするほうが効率よく収益を上げられます。新規顧客の開拓には既存客への関係維持に必要な金額の約5倍もの投資が必要だとされており、コスパは決して良くありません。
それよりも購入履歴がある既存客との密なコンタクトを心がけ、サイトへの再訪をうながしたり新商品をすすめたりするほうが購買アクションにつながる可能性が高いのです。
まとめ
誰もが予想もしなかった新型コロナウイルス。ウイルス対策として「新しい生活様式」が欠かせません。アフターコロナのマーケティングを考えるのなら、以下の3点に注意してみましょう。
- 生活の変化は不可逆的、コロナ以前には戻らない前提でマーケティングをすすめる。
- 在宅時間の長いリモートワークなどで、多様化したオンライン消費に柔軟に対応する
- 新規顧客の開拓より既存客のリピートを重視する
アフターコロナの世界では従来のマーケティングの常識が通用しなくなりました。日々はげしく移り変わる状況を読みつつ、柔軟な発想で対応していくことが大切です。