キャラクターマーケティングの失敗例

キャラクターマーケティング

日本人は一般的に「キャラクター好きだ」と言われます。
これまでにも多様なモチーフのキャラクターが生まれ、人気を集めて企業の売り上げなどに貢献してきました。

しかしなかにはキャラクターの良さを生かしきれず、失敗してしまったマーケティング例も少なくありません。
ここでは「キャラクターマーケティングの概要」から始めて、失敗してしまった2例をご紹介しましょう。
キャラクターマーケティングには抑えるべき要点があり、要点がズレていたり、そもそも要点そのものを抑えていなかったりするために失敗する例が多いのです。

キャラクターマーケティングとは

「キャラクターマーケティング」とは、特定のキャラクターを利用することで自社製品やサービスのプロモーションをおこない、収益につなげる手法です。

現在の市場では製品・サービスのコモディティ化が進み、競合他社との差別化が難しくなっています。技術の向上などから、製品やサービスの差が小さくなってきているためです。
そのためキャラクターマーケティングでは「キャラクター」を使うことで明確な差別化をねらうという目的もあります。

なぜキャラクターマーケティングで失敗するのか?

キャラクターマーケティングで失敗する場合、おおむね2つの敗因があげられます。

  1. キャラクターを受けさせたい「ターゲット」の分析が十分でなく、需要が掘り起こせない(要点がズレている)
  2. キャラクターを育てる手間を惜しみ、デザインをしただけで放置してある(要点そのものを抑えていない)

ただ漫然とオリジナルキャラクターをつくっても、それだけで売り上げや企業の知名度が上がるわけではありません。
マーケティングの初めからターゲットに受ける要素を盛り込んだキャラデザインをおこない、キャラクターを育てる手間をかける必要があるのです。

それでは実際の失敗例を2例、見てみましょう。
どちらも、ちょっとした要件を抑えておかなかったために多額のコストが生かされていない残念な例です。

失敗例①アピールすべき「要点のずれ」で失敗「トヨタ・プリガ―」

日本最大手の自動車メーカー「トヨタ」。
今もなお大人気の車種「プリウス」のマーケティングにおいて、かつて「美少女パーツキャラ」をつくって大失敗した例があります。

2016年のプリウス発表にともない、トヨタでは「PRIUS! IMPOSSIBLE GIRLS(通称・プリガー)」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げました。
これは約40点ものプリウスの部品・機能を美少女キャラに擬人化するというもの。

主なターゲットを若年層と定義して始まったプロジェクトですが、残念ながらほとんど話題にのぼることもなく、いつのまにか消滅。
大々的なキャラクターマーケティングの失敗例となりました。

敗因はおそらく
「ターゲットである若年男子の需要・好みを正確に分析していないキャラクター造形だった」
という点にあります。

機械の擬人化キャラクターとしては育成シミュレーションゲームの「艦隊これくしょん(略称・艦これ)」などの成功例がありますが、いずれも若年層男性が感情移入しやすいキャラ設定がされており、ユーザーが世界に入り込みやすくなっています。
しかしトヨタ・プリガ―プロジェクトの場合はキャラクターに「入り込みやすさ」の余地が少なく、ユーザーからの反応が薄かったのが敗因だと言われています。

失敗例②キャラクターの人格化が薄くて失敗・「自治体のゆるキャラ」

地方自治体が地域おこしの起爆剤として期待する、ゆるキャラ。滋賀県の「ひこにゃん」や熊本県の「くまモン」など数々の人気キャラがいますが、反面話題にも上らないキャラクターも多数あります。

Web上で注目もされない地方ゆるキャラの敗因は
「キャラクターの人格化ができておらず、育成しにくい」
点にあります。

キャラクターマーケティングではユーザーとの間に中・長期的な関係性を作り上げることが最大の「要点」です。
この要点を抑えておかないと、ユーザーは企業やブランドに愛着を持てずマーケティングは成功しません。

ユーザーに愛着を持ってもらうにはキャラクターの「育成」がポイント。
しかし多くの地方自治体のゆるキャラは、デザインができあがった段階でプロジェクトが終了してしまい、その後の運用を通じてキャラを育成することをしないために、マーケティングの展開が見られないのです。

まとめ

キャラクターマーケティングでは企業のイメージアップや宣伝広告、オリジナルキャラクターのグッズ収益などが見込めます。
効果の高い方法なので以下の2点をしっかりと抑えることが大切です。

  1. キャラデザインの前にターゲットを厳密に選定し、好みや動向をしっかり分析する
  2. キャラクターに人格を持たせ、育成することでユーザーとの間に愛着関係を作り上げる

的確なキャラクター造形をおこない、運用後の育成を通じてユーザーの支持を得るようにしましょう。