CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

Webマーケティングでは、いずれも「実施後の実績評価」が求められます。マーケティング効果を測定するためにはCPA・ROAS・ROI・LTVなどの指標があり、デジタルマーケティング担当者は適切な指標を用いて実績評価をおこないます。

ここでは押さえておきたい指標として「CPA」「ROI」「ROAS」「LTV」の四つを簡単にご説明しましょう。
指標は一つだけ覚えていても足りません。顧客や測定目的によって使い分けなければいけませんので、基本だけでも頭に入れておきましょう。

Webマーケティングの効果を測定するための指標

1.CPA「コンバージョン単価」

「CPA (Cost per Action / Acquisition)」とは、1件のコンバージョンを得るためかけた費用の割合をあらわすものです。
数式としては「CPA = 広告費用/コンバージョン数」で求められます。

CPAのメリットは「手軽に算出できる指標であること」「業種に関係なく広告のパフォーマンスを測定できること」です。算出するために必要なデータは広告費用とコンバージョン数だけですから、顧客からのヒアリングなどはいりません。比較的容易に算出でき、また広告主の業種に関わらず利用できる指標です。

デメリットとしては原価等の要素をふくまずに計算しますので、利益率などは読み取れません。利益率を含む測定には、次の「ROI」が適切です。

2.ROI「投資の費用対効果」

「ROI (Return on Investment)」とは、投資額に対して得られた利益をあらわすものです。ROIが高ければ高いほど、投資に対するリターンが大きかったことを意味します。
ROIは「ROI =(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100(%)」で求められます。

ROIのメリットは「規模の異なる投資でも効果測定ができて比較しやすい」「効果が数値で判断できるので事業継続の判断が容易になる」の2点です。
企業の投資は案件ごとに異なりますが、ROIをみれば各案件の投資効果を見比べることができます。ROIの高い事業は投資効果が優れているため継続すべきでしょうし、逆にROIが低い事業は改善をおこなって費用対効果を上げる必要があります。

ROIのデメリットは「広告に対する売上がわかりにくい」点です。投資効果は読み取れますが売上効果を見るには、次の「ROAS」が適しています。

3.ROAS「広告費回収率」

「ROAS (Return on Advertising Spend)」は、広告費用の回収率または、広告の費用対効果をあらわします。広告出稿後の売り上げ効果を見るものです。ROASとROIはどちらも「支払った費用に対する効果」をあらわすものですから、数値が高ければコスト以上のリターンがあったことになります。
ROASは「広告からの売上÷広告費×100%」の数式で求められます。これで広告費1円当たりの売上額が分かります。

ROASのメリットは「出稿費に対して得られた売り上げが一目で見える」点です。測定したROASが100%以上であれば、その広告は支払った広告費以上の売り上げをもたらしたことになります。

ROASのデメリットは「売上効果が分かっても、利益が出ているのかわからない」点。企業としては売り上げ効果以上に「利益は出たか?」という事を重視しますから、ROASよりもROIの測定を優先することもあります。

LTV「顧客生涯価値」

「LTV(Life Time Value)」とは、1人あるいは1社の顧客が取引を始めてから終了するまでのあいだにもたらす利益の総額です。「顧客生涯価値」とも言われ、顧客1人から得られる平均の売上をあらわします。
数式としては「LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」から算出します。

LTV測定のメリットは、「既存客からの売り上げの上限が推測できる」こと。
Webマーケティングにおいては既存客からどれだけの売り上げを得られるかが勝負の分かれめになります。なぜなら既存顧客との関係を良好に保ち、より多くの商品をより長く購入してもらうことが安定的な収益につながるからです。
新規顧客の獲得コストは「1:5の法則」に見られるように、既存客の維持コストよりも高額です。コストパフォーマンス面から言っても既存顧客との関係を堅持し拡大していくほうが、利益率が高いのです。

LTVのデメリットは、顧客とのコミュニケーションを確保するマネジメント= CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)が必要であること。
顧客の購買履歴やクレーム履歴を把握しておくことでより緊密な信頼関係を生み出し、LTVを高めるよう努めねばなりません。

まとめ

Webマーケティングでは実施後のデータ分析が欠かせません。実績評価のための指標として、以下の4つは押さえておきましょう。

  1. CPA(コンバージョン単価)=1コンバージョンあたりにかかった費用
  2. ROI(投資の費用対効果)=投資額に対して得られた利益
  3. ROAS(広告費回収率)=広告の費用対効果
  4. LTV(顧客生涯価値)=顧客それぞれがもたらす利益の総額

各指標はあらわす意味合いが異なりますので、顧客が求める分析によって使い分けます。的確な実績評価をおこない、同時に、必要に応じて改善策を提案できるようにしておくといいでしょう。