プル型マーケティングの成功事例

マーケティングの世界では注目を浴びて、それまでの既存の営業スタイルにとってかわる新しい動きが常に生まれています。
「プル型マーケティング」は、今やWebマーケティングの主流になりつつある手法。

ここでは「プル型マーケティングの概要」からはじめて、実際の成功事例3件をご紹介いたします。
従来の「プッシュ型マーケティング」とは違い、どこまでも顧客主体の手法である点が大きな特徴なのです。

プル型マーケティングとは

「プル型マーケティング」とは、自社製品やサービスについて顧客が興味を持ち、みずから購入に動いてくれるように喚起・誘導していくマーケティング方法です。
「インバウンドマーケティング」ともいわれます。

これまでの日本の基本的な営業スタイルは、CMやテレアポ、企業訪問といった直接的な売り込みが中心。
比較的、短期間で売り上げにつながるのがメリットでしたが、現在では「徹底した顧客目線」で展開する「プル型マーケティング」が主流となりつつあります。

コンテンツやSNSを使ったプル型マーケティングでは「届けたい客層に、確実に情報を届けられる」点が大きなメリット。
企業と顧客との信頼関係がしっかりと構築されるので、長期間にわたって購入してくれる優良顧客を育成できます。

それでは、具体的なプル型マーケティングの成功例3つを見ていきましょう。
今では、大企業もプル型マーケティングを採用してすでに成功しているのです。

プル型マーケティングの成功事例①キリン

キリンはキリンビールでおなじみの、国内大手の飲料メーカーです。

こちらでは自社サイトの中で「キリンレシピノート」という下部サイトを運営しています。
サイト内では「カンタン・おいしい・楽しい」をテーマにしたレシピを紹介。メニューはビールやワインなどにあうおかずやおつまみ、簡単に作れるスイーツまでとても多様です。

注目すべきは、飲料メーカーとして自社商品の売り込みをする姿勢がとても薄い点。
キリン商品にあうレシピを紹介するという位置づけですが、実際のレシピ内容にはキリン商品はほとんど関係がありません。
ただレシピ横に、「この料理に合う飲み物」として、おすすめのキリン商品がピックアップされているだけなのです。

こちらのレシピサイトの目的は「おいしく簡単にお料理」であり、なによりも顧客の利益が優先されているのが如実にわかります。
セールス色が薄く、しかも使えるレシピサイトを無料で公開することで、キリンというメーカーのめざす企業理念がユーザーに理解されやすくなっています。

プル型マーケティングの成功事例②ベルリッツ・ジャパン

ベルリッツ・ジャパンは語学レッスンの有名ブランドです。
こちらでは「ベルリッツブログ」という語学レッスン用のコンテンツサイトを運用しています。

週に1回の更新頻度で、その時期に検索されることが多いキーワードを使ってタイミングよくコンテンツを配信。
コンテンツ配信とともにWeb広告なども併用し、その時期ならではのコンテンツに注目が集まるようにしています。

現在ではブログコンテンツをきっかけとした見込み客からの問い合わせも増えており、紙媒体の広告と同様に集客力を発揮しています。
このブログコンテンツの特徴は、MP3の音声データを豊富に使っていること。

もともと外国語に興味のあるユーザーをターゲットとしているために、音声で耳から理解したいというニーズが非常に高かったそうです。
そのため英語のトレーニング用ブログはすべて音声入り。顧客目線に立って、ニーズを的確に拾い上げている好例です。

プル型マーケティングの成功事例③三越伊勢丹

つねに攻めている百貨店、三菱伊勢丹。
こちらではECサイトではなく、ファッション情報を発信する「FASHION HEADLINE」というサイトを運営しています。

注目すべきはその徹底した中立性。
サイトは中立性を守るために、三越伊勢丹+ニュースサイト運営の実績があるIT企業・イードとの共同出資という形をとっています。

そのため三越伊勢丹の商品紹介だけでなく、その時期に必要なファッション情報をどんどん提供していくというスタンスのため、プロのバイヤーによるセレクトや気になる雑貨など、印象的なコンテンツが多いです。
宣伝色を排することで、かえって三越伊勢丹のブランドがきわだつという成功例です。

まとめ

プル型マーケティングは、顧客目線に立った情報提供で、顧客とのあいだに緊密な信頼関係を作り上げていくのが特徴です。
マーケティング展開時には以下の2点に注意しましょう。

  1. 徹底して顧客目線に立ち、情報を届けたい客層をねらって発信する
  2. サイト、コンテンツでは情報提供に集中し、中・長期的に顧客を育成する

プル型マーケティングは成果が上がるまでに時間がかかることもありますが、いったん動き始めたら連鎖的に反応がある手法です。
しんぼう強く、時間をかけて顧客を育成していきましょう。

プッシュ型マーケティングの成功事例

プッシュ型マーケティング

長い間、営業と言えば営業マンが企業を回る「プッシュ型」スタイルが主流でした。
テレアポやCM、Web広告などを利用する営業法ですが、Webマーケティングの隆盛にしたがい後退を余儀なくされている雰囲気があります。

しかし営業マンが顧客に直接的に働きかける営業法は成果が短期間で得られやすいのが利点です。
ここでは「プッシュ型マーケティングの概要」と成功例3件をご紹介しましょう。
プッシュ型マーケティングは購買アクションの最後の一押しになりますし、既存客との関係構築に役立つ手法です。

プッシュ型マーケティングとは

「プッシュ型マーケティング」とは、企業・営業マン側から顧客に対して情報を発信するスタイルのマーケティング手法です。
「アウトバウンドマーケティング」とも言われます。

これまでの日本の営業マンにみられる「顧客とのコミュニケーションを密にとり、人間関係を構築してから売り上げにつなげる」営業スタイルのことで、テレアポやテレビCM、バナー広告、DM、メール配信などがプッシュ型に含まれます。

やや古いマーケティング手法だといわれますが業種によっては高い集客効果がありますし、時期によっては非常に有効なため見逃せません。
それでは、具体的なプッシュ型マーケティングの成功例3つを見ていきましょう。

プッシュ型マーケティングの成功事例①「モバオク!」

最近のプッシュ型マーケティングでは「スマホのプッシュ通知」を取り入れているところが多いです。
プッシュ通知とは導入したアプリで店のセール情報やクーポンなどを顧客に送るサービスのこと。

たとえばオークションサイトを運営する「モバオク」ではプッシュ通知を送信することでタイミングよく顧客をサイトに誘導する仕組みを作りました。
たとえば「イベント開始直前のプッシュ通知」で、確実に購入意欲のある顧客を特定のイベントへ誘導しています。

「モバオク!」内でも人気の高い「1円オークション」では、とくに開催直後にユーザーが集中し、盛り上がる傾向が強い。
そのためにオークション直前にプッシュ通知をして、確実に情報を提供しているのです。

ちなみにプッシュ通知はメールよりも視認率・開封率が高いと言われまし、顧客自身がプッシュ通知に事前登録することで参加意識が高まり、能動的な購入アクションを誘発できます。

プッシュ型マーケティングの成功事例②「LINEショッピング」

スマホのプッシュ通知を上手に使っている事例では「LINEショッピング」も有名です。現在では流通額が2000億円以上となっている有望株。
LINEショッピングではとくに金曜の夜20時以降に急激に購入件数が伸びるのに目をつけ、LINEの公式アカウントからの広告を20時直前に集中的に配信しています。

これでユーザーの目線を
「公式アカウントからの広告→LINEショッピングに誘導」
することで効果を上げ、実際の購買アクションをプッシュ型マーケティングで後押ししています。

ちなみにLINEショッピングでは、各ユーザーの現在の「顧客ステータス」によってプッシュ型とプル型マーケティングを使い分けているのも大きな特徴。
購入経験1~2回のライトユーザーに対しては、購入後のポイントバック、キャッシュバックキャンペーンで「購入後の実質値引き」をおこない、ライトユーザーの長期ユーザー化、企業ロイヤリティの高いユーザーへの育成をめざしています。

プッシュ型マーケティングの成功事例③美容業界・飲食業界

業種によってはイベント時期だけプッシュ型マーケティングをおこなうことで高い集客効果を得られることもあります。
たとえば美容業界や飲食業界では、クリスマスや卒業式・入学式などのイベントシーズン直前にだけ事前登録のメルマガやプッシュ通知を使い、集中してプッシュ型マーケティングを展開する方法で成功をおさめている店舗が多数あります。

メルマガやWeb広告などのプッシュ型マーケティングは1年じゅう続けると、顧客を疲れさせるおそれがあります。
反対にイベントシーズン直前だけSNSでアプローチしたりメルマガを送ったりすれば、顧客からの開封率も上がります。

メッセージとともに期間限定クーポンを送付すれば、メルマガの開封率はさらにアップ。非常に効果の高いプッシュ型マーケティングです。

まとめ

プッシュ型マーケティングの強みは成約率が高いと思われる顧客をターゲットにできる点です。
やや押しが強い側面がありますので、営業時には以下の2点に注意しましょう。

  1. イベント前のスマホのプッシュ通知や、特定シーズンのみのメルマガ送付などでクリック率を上げる
  2. 自社サイトでのコンテンツマーケティングなど、オフライン+オンライン営業を併用する

最近は「待ちの手法・プル型マーケティング」が流行していますが、プル型だけでは足りない部分もあります。
プッシュ型・プル型マーケティングの併用で、顧客の取りこぼしがないように営業を進めていきましょう。

キャラクターマーケティングの失敗例

キャラクターマーケティング

日本人は一般的に「キャラクター好きだ」と言われます。
これまでにも多様なモチーフのキャラクターが生まれ、人気を集めて企業の売り上げなどに貢献してきました。

しかしなかにはキャラクターの良さを生かしきれず、失敗してしまったマーケティング例も少なくありません。
ここでは「キャラクターマーケティングの概要」から始めて、失敗してしまった2例をご紹介しましょう。
キャラクターマーケティングには抑えるべき要点があり、要点がズレていたり、そもそも要点そのものを抑えていなかったりするために失敗する例が多いのです。

キャラクターマーケティングとは

「キャラクターマーケティング」とは、特定のキャラクターを利用することで自社製品やサービスのプロモーションをおこない、収益につなげる手法です。

現在の市場では製品・サービスのコモディティ化が進み、競合他社との差別化が難しくなっています。技術の向上などから、製品やサービスの差が小さくなってきているためです。
そのためキャラクターマーケティングでは「キャラクター」を使うことで明確な差別化をねらうという目的もあります。

なぜキャラクターマーケティングで失敗するのか?

キャラクターマーケティングで失敗する場合、おおむね2つの敗因があげられます。

  1. キャラクターを受けさせたい「ターゲット」の分析が十分でなく、需要が掘り起こせない(要点がズレている)
  2. キャラクターを育てる手間を惜しみ、デザインをしただけで放置してある(要点そのものを抑えていない)

ただ漫然とオリジナルキャラクターをつくっても、それだけで売り上げや企業の知名度が上がるわけではありません。
マーケティングの初めからターゲットに受ける要素を盛り込んだキャラデザインをおこない、キャラクターを育てる手間をかける必要があるのです。

それでは実際の失敗例を2例、見てみましょう。
どちらも、ちょっとした要件を抑えておかなかったために多額のコストが生かされていない残念な例です。

失敗例①アピールすべき「要点のずれ」で失敗「トヨタ・プリガ―」

日本最大手の自動車メーカー「トヨタ」。
今もなお大人気の車種「プリウス」のマーケティングにおいて、かつて「美少女パーツキャラ」をつくって大失敗した例があります。

2016年のプリウス発表にともない、トヨタでは「PRIUS! IMPOSSIBLE GIRLS(通称・プリガー)」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げました。
これは約40点ものプリウスの部品・機能を美少女キャラに擬人化するというもの。

主なターゲットを若年層と定義して始まったプロジェクトですが、残念ながらほとんど話題にのぼることもなく、いつのまにか消滅。
大々的なキャラクターマーケティングの失敗例となりました。

敗因はおそらく
「ターゲットである若年男子の需要・好みを正確に分析していないキャラクター造形だった」
という点にあります。

機械の擬人化キャラクターとしては育成シミュレーションゲームの「艦隊これくしょん(略称・艦これ)」などの成功例がありますが、いずれも若年層男性が感情移入しやすいキャラ設定がされており、ユーザーが世界に入り込みやすくなっています。
しかしトヨタ・プリガ―プロジェクトの場合はキャラクターに「入り込みやすさ」の余地が少なく、ユーザーからの反応が薄かったのが敗因だと言われています。

失敗例②キャラクターの人格化が薄くて失敗・「自治体のゆるキャラ」

地方自治体が地域おこしの起爆剤として期待する、ゆるキャラ。滋賀県の「ひこにゃん」や熊本県の「くまモン」など数々の人気キャラがいますが、反面話題にも上らないキャラクターも多数あります。

Web上で注目もされない地方ゆるキャラの敗因は
「キャラクターの人格化ができておらず、育成しにくい」
点にあります。

キャラクターマーケティングではユーザーとの間に中・長期的な関係性を作り上げることが最大の「要点」です。
この要点を抑えておかないと、ユーザーは企業やブランドに愛着を持てずマーケティングは成功しません。

ユーザーに愛着を持ってもらうにはキャラクターの「育成」がポイント。
しかし多くの地方自治体のゆるキャラは、デザインができあがった段階でプロジェクトが終了してしまい、その後の運用を通じてキャラを育成することをしないために、マーケティングの展開が見られないのです。

まとめ

キャラクターマーケティングでは企業のイメージアップや宣伝広告、オリジナルキャラクターのグッズ収益などが見込めます。
効果の高い方法なので以下の2点をしっかりと抑えることが大切です。

  1. キャラデザインの前にターゲットを厳密に選定し、好みや動向をしっかり分析する
  2. キャラクターに人格を持たせ、育成することでユーザーとの間に愛着関係を作り上げる

的確なキャラクター造形をおこない、運用後の育成を通じてユーザーの支持を得るようにしましょう。

下品じゃない炎上マーケティングの成功例

下品じゃない炎上マーケティングの成功例

Webマーケティングの手法は、じつにさまざまです。
王道・正統派の手法もあれば、ややリスキーであっても短期間に大きな反響を得る手法もあります。

Web上で多大な賛否を呼ぶ「炎上」を利用した「炎上マーケティング」は、成功すれば一気に知名度が上がる方法です。

ここでは「炎上マーケティング」の手法と、「反感を買いにくい炎上マーケティングのコツ」「炎上から好感度への誘導法」を検証してみました。
いろいろな意味で反響の大きい炎上マーケティング。諸刃の剣ではありますが、使い方次第でうまくいく側面もあるのです。

炎上マーケティングとは

「炎上マーケティング」とは、Web上であえて批判を受けそうなコメントを発信したり、コンテンツを配信したりすることで注目を集めて売り上げ増をねらう手法です。
炎上マーケティングの利点は以下の2点があげられます。

  1. 商品や企業の知名度が一気に上がる
  2. SNSでの拡散やメディアへの露出でサイトアクセス数が急激に上昇する

炎上マーケティングの目的は、商品やサービス、店舗の宣伝です。

一般的なWebマーケティングの方法では知名度を得るまでに時間がかかることが多いですし、巨額の資金投下が必要になります。
企業規模によってはそれほど多大なお金が宣伝・広告費としてかけられない…という事情もあり、あえてWebユーザーの感情をあおるような内容のコメントやコンテンツを投稿して注目を集めようとするケースもあるのです。
しかし炎上マーケティングはWeb上で多大な批判を浴びるリスクもあるために実施がむずかしいといえます。

反感を買いにくい炎上マーケティングのコツ

反感を買いにくい炎上マーケティングのコツはら「下品でない」「賛同できる」と感じられるような要素をコメントやコンテンツに入れ込んでおくことです。
たとえば、炎上マーケティングの稀有な成功例と言われるルーマニアのチョコレート菓子「ROM」のケース。

「ROM」はチョコレート菓子のパッケージに長年、自国ルーマニアの国旗をモチーフとしたデザインを採用してきました。しかし採用後に時間がたつうち「パッケージデザインかっこよくない」「ダサい」と受け止められるようになり、売れ行きも減少。

そこで実施したのが「パッケージデザインを、あえてアメリカ国旗のモチーフに変更」すると告知する炎上マーケティングです。
テレビCMやWeb上での告知には多大な反響があり、Web上でもデザイン変更についての議論が白熱。「ROM」への関心は急激に高まりました。

このタイミングでROMの炎上マーケティングは第二段階にステージアップ。
「大丈夫です!実はあれはジョークでした!」と報告し、従来どおりのルーマニア国旗デザインを継続すると発表。
売り上げは急上昇して国内シェアを取り戻すこともできました。

このようにWebユーザーからの賛同を得るルートをあらかじめ確保しておけば、炎上マーケティングで想定以上の効果を上げることも可能なのです。

炎上から好感度への誘導法

しかし「ROM」の炎上マーケティングは稀有な例です。

実は炎上マーケティング効果は一時的なものにすぎません。
サイトのPVや企業および製品の知名度は急激に上がりますが、その後はWebユーザーからの反感が長く続くことがほとんど。結果的に企業の業績・売り上げにとってプラスになるとは言いにくい手法です。
一時的な注目と引き換えに大きな批判を生むリスクをつねに背負っている方法だといえるでしょう。

そこで考えてみたいのが「炎上から応援要請型の自虐マーケティングへ誘導する方法」です。

「自虐マーケティング」というのは、自社製品などのあえておとしめることで注目を集める手法。
炎上マーケティングと同じく企業ブランドやイメージに傷がつくリスクがありますが、ユーザーからの支援をもとめる方法をとると、逆に若年層などから面白がられてSNSで一気に拡散していくことがあります。

例としては三重県にあるテーマパーク「志摩スペイン村」があげられます。
テーマパークではありますが比較的すいていることを逆手に取り「すいているから、映え放題」というキャッチフレーズを自社サイトに載せて、インスタ映えを気にする若い世代からの注目を集めました。

その結果、「すがすがしいほどに自虐的」とSNSで一気に拡散され、結果的に来場者が増えて収益につながった例です。

まとめ

多くのWebユーザーの注目を集められる炎上マーケティング。しかし危険度が高い点を踏まえ、実施時には以下の2点に十分留意しましょう。

  1. Webユーザーに受け入れられるために「下品でない」「賛同できる要素のある」炎上をねらう
  2. 炎上と自虐マーケティングを併用するなど、初めからユーザーの感情の落としどころを作っておく

炎上マーケティングで注目されてもコンバージョンにつながるかは別問題です。
実施前に市場の状況や広告効果をしっかりと把握・検討して、事前にリスク計算をしておきましょう。

キャラクターマーケティングの成功例

キャラクターマーケティングの成功例

自社製品やサービスを販売するためのマーケティングにはさまざまな手法があります。
「キャラクターマーケティング」は個性的なキャラクターを使い、ユーザーの身近なところで購買意欲に訴えかける方法です。

ここでは「キャラクターマーケティングの概要」と、実例をあげた「成功例3つ」をご紹介しましょう。
キャラクターマーケティングは、成功すれば知名度が一気に上がるのが大きなメリット。SNS発信も併用して、キャラクターの魅力を伝えていきましょう。

キャラクターマーケティングとは

「キャラクターマーケティング」は個性のあるキャラクターを使って、商品やサービスのイメージや企業ブランドを発信するマーケティング手法です。
かわいい・アピール力が強いキャラクターを起用することによって企業に対する親近感を持ってもらい、ブランドイメージをあげる狙いもあります。

自社製品やサービスの売込みに使えるだけでなく、このところ各自治体が積極的に推進している「ご当地ゆるキャラ」も地域活性化を目的としたキャラクターマーケティングです。
キャラクターマーケティングは反響がSNSなどで一気に拡散されることがあり、ときには想定以上の注目を得ることがあります。オリジナルキャラの場合は強力なアピール力を持つ造形を考え、キャラクターそのものを広く知ってもらえるようにするのが重要なポイントです。

では、ここから具体的な成功例3つを見ていきましょう。誰でも一度は目にしたことがあるおなじみのキャラクターも売り上げに一役買っているのです。

キャラクターマーケティングの成功例①くまモン

地方自治体のキャラクターマーケティングでもっとも成功した例は熊本県庁の「くまモン」でしょう。

黒い顔・体に丸い目、赤いほっぺのくまモンは一目見たら忘れられない印象的なビジュアル。2011年から熊本県のPRのために活動をはじめ、またたくまに人気者となり2011年の「ゆるキャラグランプリ」でみごと王者に輝きました。以来、日本じゅうに知られるようになった超有名キャラクターです。

くまモン成功の秘密は「商標使用が原則無料」である点。
熊本県の許可を得れば個人でも企業でも無料で使用できるキャラクターのため、熊本県関連の企業だけでなく全国の企業からグッズなどが販売され「共有型キャラクターマーケティング」を幅広く展開できることになりました。

ちなみに2020年7月の熊本豪雨災害のためにもくまモンは活躍中。
豪雨被害支援のための募金活動、チャリティー活動などで使用するポスター、のぼり、チラシ、募金箱、ホームページについては特例措置として「現在公表している全てのイラストを、届出制(許諾不要)とする」ことが決まっています。おなじみキャラ「くまモン」の魅力で災害支援を訴えています。
(引用サイト:熊本県 https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_34128.html)

キャラクターマーケティングの成功例②キョロちゃん

「キョロちゃん」はお菓子の森永製菓の有名キャラクター。
赤い頭に黄色いくちばしをもつ架空の鳥で、森永のお菓子「チョコボール」の看板キャラクターです。

キョロちゃんは、森永製菓とは別に独自のツイッターアカウントを持っている人気者。
メインユーザーである若者層からの反応を得やすくするため、コンテンツ内容にはアンケートやクイズを取り入れたり、ユーザーから投稿されたイラストを紹介したり、各種キャンペーンの「あたり報告ツイッター」をリツイートするなど、頻繁なつぶやきで人気を集めています。
親しみやすいキャラをベースにしてSNSで競合他社との差別化をはかり、緻密な計算でキャラクターマーケティングを大成功にもって行ったみごとな事例です。

キャラクターマーケティングの成功例③ハローキティ

キャラクターマーケティングの王道を行くのがサンリオの「ハローキティ」。
こちらもツイッターなどのSNSで頻繁に情報を発信し、オンラインショップの新製品や他企業とのコラボ商品のお知らせなどファンが知りたい情報をいち早く提供しています。

注目すべきは更新頻度。平日はほぼ毎日投稿で、日によっては2~3回もツイッターでつぶやくなど新しい情報が欲しいファン層の需要に的確に答えて売り上げにつなげています。

ちなみにハローキティはアジア圏での人気も高いキャラクターで、SNSでは海外からの投稿も多数あります。また公式YouTubeチャンネルが開設されており、(https://www.youtube.com/channel/UCyof-1Ko_jy2sOtivyTpc4Q)
チャンネル登録者数が25万人を越える人気チャンネルです。

まとめ

キャラクターマーケティングは戦略がものをいうマーケティング方法です。運用前に以下の3点に十分配慮をして始めましょう。

  1. マーケティングの目的を明確にして、適切なキャラクターデザインを行う
  2. キャラクターの知名度を上げるため、「商標使用を原則無料」を検討する
  3. SNSでこまめに情報を発信し、キャラクターへの好感度を販売につなげる

キャラクターの魅力を活用することで企業への好感度が上がり、知名度アップや売り上げ促進につながります。
ビジュアルでユーザーに訴えかけやすいキャラクターを上手に使いしょう。

サブスク成功は、リピーターをターゲットにすることでできる

サブスク成功は、リピーターをターゲットにすることでできる

ビジネスにも流行があり、さまざまな手法が新しく登場しては注目を集めています。
最近各分野で導入されているのが「サブスクリプション型ビジネスモデル」です。

ここではサブスクリプションの成功理由を「顧客の満足度」「LTV(顧客生涯価値)の高さ」「既存客の長期利用」の3点から考えてみましょう。
サブスクの成功は、既存客をターゲットにすることから生まれてきます。徹底した顧客視点のシステム設定がカギを握るのです。

顧客の満足度が高いサブスクリプション

「サブスクリプション」とは、ユーザーがサービスや商品を一定期間利用できる権利に対してお金を払うモデルです。動画配信サービスや音楽配信などが分かりやすい例で、ユーザーは動画を購入するわけでなく一定期間だけ「動画を見る権利を買う」というものです。
現在ではさまざまな業界がサブスクリプション型モデルを始めており、カーシェアや家電・女性向けの高級バッグ・ファッションの分野でも人気を集めています。

サブスクリプションが従来の定額制と大きく異なるのは、つねに「顧客の満足度」を視野に入れてマーケティングを展開している点です。
定額制では毎月同じ金額で同じサービスを提供します。サブスクリプションでは定額制から一歩踏み込んで、顧客のニーズに合わせてサービスや商品を変え、満足度を高めていきます。顧客の「長期利用を目指す」ことが目的だからです。
ですからサブスクリプション型モデルでは顧客の利便性が高いシステムを導入しています。
多様な料金形態を用意して必要な分だけサービス・商品を使えるようにしたり、休止期間をもうけてユーザーの脱退を防ぎ、定期的に再利用をうながしたりして、顧客との関係性を継続していくことを重視しているのです。

つまりサブスクリプション型モデルでは、新規顧客の開拓よりも既存客が大切であり、もっと言えば既存客の「LTV(顧客生涯価値)」を高めることが目的なのです。

LTVが高い=既存顧客を常連化できている

「LTV(Life Time Value・顧客生涯価値)」とは「1人の顧客が企業にもたらす総支払額」を意味する言葉です。
サブスクでは長くサービスを利用してもらい、顧客のLTVを最大限に高めることで、安定的な収益をねらいます。企業にとってのサブスクのメリットは

  1. すでに関係性のできている既存顧客の長期利用を促し、低コストで収益を上げる
  2. 顧客のニーズに合わせて提供するサービス・商品を変更し、よりニーズに沿った改善が行える

という2点です。
企業の手元には、サブスクを利用しているユーザーの基本情報があります。これを利用して顧客にとっての最適なタイミングで別のサービス・商品を提案したり、料金形態の変更をうながしたりして、1人の顧客からの売り上げをアップさせます。
新規顧客から1万円の売り上げをあげるより、毎月8000円のサブスクを長期利用している既存客から1万円のサブスクへ変更してもらうほうが確率も高いでしょう。そしていったん1万円に変更した顧客の多くは、8000円に戻ることはありません。1万円のまま継続してもらえるケースが多いのです。

このように、サブスクが成功しているということは「既存客のLTVが非常に高い・既存客の常連化ができている」ことを意味しています。

顧客ニーズに合わせて長期利用をめざすサブスク

サブスクでは「既存客をターゲットにして、既存客のニーズに合わせていく」ことが成功につながるポイントです。

長期利用・客単価アップのためには、顧客のニーズにあわせて商品・サービスのほうが変化していかなくてはなりません。
企業側のメリットを追求していくのではなく、顧客が喜ぶことを優先して、顧客に長く利用されるシステムに日々作り替えていくことで収益を上げているのです。この点も、従来の月額型とは大きく違うところでしょう。

成功したサブスクリプションでは
「顧客視点のサービス→顧客満足度アップ→企業ロイヤリティの高まり→長期利用・安定収益→顧客目線のサービス」
という理想的な循環がおきています。
企業側は、ときには顧客にサービスのダウングレード(低料金プランへの変更など)の提案をすることもあります。あえて目先の利益を落としてでも、「長期利用」の達成をめざしているのです。

まとめ

ビジネスの新しい流れともいえるサブスクリプション。成功させるためには以下の3点を抑えておく必要があります。

  1. ターゲットは既存客とし、顧客の満足度を高めて安定収益を得る
  2. 多様なプランを用意して、1人の顧客のLTV(顧客生涯価値)を高める
  3. 顧客のニーズに合わせてサービス内容を変化させ、長期利用をめざす

サブスクリプションでは新規顧客の獲得以上に既存客を重視します。顧客と企業との関係性を重視するビジネスモデルのため、企業側にはつねに柔軟に変化していくことが求められます。顧客目線に立ったサービス提供で安定的な収益をあげましょう。

 

飲食店にこそ、ストーリーテリングマーケティングを導入しよう

飲食店にこそ、ストーリーテリングマーケティングを導入しよう

新型コロナウイルスのために、日本中の飲食店が苦境におちいっています。なにか売り上げのために出来る事はないか‥とお考えの店主さんも多いでしょう。
ここでは、飲食店にこそストーリーテリングマーケティングが適しているという観点から「ストーリーによる付加価値」「飲食店とストーリーテリングマーケティングの好相性」「顧客にストーリーを伝える仕組みづくり」についてご説明しましょう。

物語性のある商品やサービスには見えない付加価値があります。コロナで苦境にある飲食店こそ、ストーリーを取り入れるといいでしょう。

店やメニューの「ストーリーによる付加価値」

「ストーリーテリングマーケティング」とは、企業のブランドコンセプトや商品・サービスを「物語」を使って印象づける手法です。飲食業界でもクチコミの多い人気店にはメニューやスタッフに「ストーリー」があり、それが魅力となってお客さんを引き付けています。

とくに飲食店の場合、メニューや食材、料理の背景にはたくさんのストーリーがあり、お客さんに向かってアピールすればかなり効果的な売り込みになります。
またストーリー性のある食材やメニューはSNSなどでも拡散されやすく、店側が気づかないうちに多様な客層に情報が届いていることもあるのです。SNS上ではひとつのストーリーが広く伝わり、大化けする可能性もあります。

身の回りを丹念に探して、メニューや食材、店舗についての物語を探してみましょう。ストーリーを発掘してくる苦労はありますが、お店のスタート当初の苦労話や営業が軌道にのるまでのエピソードなど飲食店には思わぬストーリーが転がっているものです。

飲食店とストーリーテリングマーケティングは好相性

ストーリーテリングマーケティングと相性がいい飲食店とは、以下の2点の条件をクリアしている店です。

  1. 飲食店としてのこだわり・コンセプトが強固でブレがない
  2. お客さんがSNSなどで拡散したいストーリーである

もともと、コンセプトがしっかりとある飲食店とストーリーテリングマーケティングは好相性の組み合わせです。
ストーリーとはつまり「こだわり」という事ですから、飲食店としてのこだわり・コンセプトが強固であればあるほどお客さんは店のストーリーに興味を持ち、やがて店そのものにハマってくれます。

ストーリーテリングマーケティングは、お客さんの「感情」を揺り動かす手法です。しっかりしたコンセプトのある飲食店のストーリーは強固であるだけに人の心に刺さりやすくなっています。
そしていったん店のストーリーに賛同した顧客は、ロイヤリティの高い優良な顕在的顧客となり、長期間にわたって店に通う熱心なリピーターに成長します。

リピーターに支えられている飲食店はコロナ禍においても堅実に営業を続けているところがとても多い。これは店側のこだわりストーリーを貫き通すことで、顧客との良好な関係が作れているからなのです。

ストーリーを伝える仕組みづくり

ストーリーテリングマーケティングで重要なのが「ストーリーを伝える仕組みづくり」です。どれほどいいストーリーがあっても、それをお客さんに伝えていかなければ訴求力にはつながりません。
ストーリーを伝えるには、次の2点に注目するといいでしょう。

  1. メニューに料理や食材に関するストーリーをのせておく
  2. ツイッターやフェイスブックなどのSNSでストーリーを発信する

いずれも低コストでできるストーリー伝達なのがポイント。
飲食店に必ずあるメニューには、食材や料理のストーリーを短い文章で書いておきましょう。お客さんはオーダー時にストーリーに接することが出来ますし、あるいは食事の待ち時間中に読んでくれるかもしれません。
メニューに載せるストーリーには画像が付いているとなおいいでしょう。ビジュアルの記憶は比較的長期間にわたって記憶に残ることが多いからです。
あるいは飲食店の店主さんやオーナーさんみずからが、ツイッターなどのSNS上で店のストーリーについてつぶやくのも効果的です。その日仕入れた食材にまつわる話や、調理法のエピソードなど、ちょっとした小ネタでも十分でしょう。

大切なのは、その店に関するストーリーを少しずつ積み上げ、お客さんの感情にふれる部分をたくさん作っておく事なのです。

まとめ

ストーリー・物語には人を強く引き付けるパワーがあり、集客力は非常に高いです。飲食店でストーリーテリングマーケティングを取り入れるには以下の3点に留意しましょう。

  1. 料理やメニューにストーリーを紐づけて、付加価値を高める
  2. 飲食店ならではのストーリーを探し、お客さんによるSNSの拡散を狙う
  3. ストーリーを伝える仕組みを作り、お客さんの感情に訴える

味覚や嗅覚に訴える飲食店は、もともとストーリーテリングマーケティングとの相性がいい業種です。ブレのないコンセプトを伝える事により、リピーターのお客さんを育成しましょう。

 

 

アフターコロナにマーケティングが激変

アフターコロナにマーケティングが激変

新型コロナウイルスは世界中の人の生活を一気に変化させました。日常生活はもちろん経済活動そのものも激変し、マーケティングも大きな動きに翻弄されている真最中です。
ここではコロナと共に生きるウィズコロナ時代と、コロナ終息後のアフターコロナにおけるマーケティングを「生活様式の不可逆的な変化」「オンライン消費」「既存客へのアプローチ」の3点から考えましょう。

世界は、アフターコロナを見据えた新しいスタイルのマーケティングを模索する段階に入っているのです。

新しい生活が、マーケティングに不可逆な変化をもたらす

コロナ禍で世界中の人々の生活は大きく変わりました。この変化はコロナが終息した後も継続するという予測があり、多くの人が「コロナがおさまっても以前の消費活動には戻らない」という認識を持ち始めています。

生活の変化は日常生活に必要な商品の選び方や買い方にまで影響を及ぼしました。
たとえば週に3回スーパーへ買い物に行っていた人が週に1回のネットスーパー宅配に変更したり、高齢者がスマホを使いこなしECサイトで買い物をしたりと、これまでとは違った視点で消費をするようになっているのです。
また在宅でのリモートワークに切り替わったことによって自宅にいる時間が長くなり、これまで毎日買っていたコンビニコーヒーをやめて、自宅でドリップするためのコーヒー豆購入に切り替えたという人もいます。

日常生活のさまざまな場面でコロナ以前とはことなる消費活動がすでに始まっており、しかも多くの人が新しい生活様式になじんできています。コロナ以前の生活に完全に戻ることは難しい状況になりつつあるのです。
こういった人々の意識改革を受けて、マーケティングの世界も「アフターコロナにおける新しいマーケティング方法」を探さねばならないでしょう。

オンライン消費の多様化

新型コロナウイルスが日本のビジネスにもたらした、最も大きな変化は以下の2点です。

  1. 企業のリモートワークの推進
  2. 在宅時間の長時間化によるオンライン消費の多様化

それ以前も日本ではリモートワークをすすめよう、という動きはありましたが実際には浸透しなかったのが実情でした。しかしウイルスの感染予防という観点から、一気にリモートワークが実現。それまで具体的に動いてこなかった企業も、政府の緊急事態宣言を受けてやむを得ずにリモートワークを進めることになったのです。

もちろん準備不足のためにリモートワーク開始直後はさまざまなトラブルが起きたようですが、こまごましたトラブルが解消した現在では、リモートワークの利便性があらためて評価されはじめています。
企業側にとっても交通費削減やオフィスの縮小化などリモートワークの利点は少なくありません。そこで緊急事態宣言の解除後もリモートワークを継続する企業が多く、この動きは今後ますます進むと予測されています。
つまり、コロナウイルスが終息した後もリモートワークが働き方の選択肢のひとつとして残るのです。

今まで以上にリモートワークが一般化してくると、消費活動にも多大な変化が訪れるでしょう。売れ筋商品も変化するでしょうし、ECサイトでの買い物がより一層普及すると思われます。
在宅での仕事を持つという生活スタイルの変化がオンライン消費の多様化を進めるにしたがって、マーケティングも多様化に対応せねばなりません。

既存客への再アプローチ

アフターコロナのマーケティングで最も重視すべきなのが「既存客との関係維持」です。
ネットの世界では、これまでの大量消費から「気に入ったもの・こと」を厳選してリピート購入するスタイルが増えてきました。

企業側としても新規顧客を得るために多大な投資をするより、すでに購入履歴のある既存客に働きかけ、別の商品を購入してもらったりサブスクリプションで長期利用してもらったりするほうが効率よく収益を上げられます。新規顧客の開拓には既存客への関係維持に必要な金額の約5倍もの投資が必要だとされており、コスパは決して良くありません。

それよりも購入履歴がある既存客との密なコンタクトを心がけ、サイトへの再訪をうながしたり新商品をすすめたりするほうが購買アクションにつながる可能性が高いのです。

まとめ

誰もが予想もしなかった新型コロナウイルス。ウイルス対策として「新しい生活様式」が欠かせません。アフターコロナのマーケティングを考えるのなら、以下の3点に注意してみましょう。

  1. 生活の変化は不可逆的、コロナ以前には戻らない前提でマーケティングをすすめる。
  2. 在宅時間の長いリモートワークなどで、多様化したオンライン消費に柔軟に対応する
  3. 新規顧客の開拓より既存客のリピートを重視する

アフターコロナの世界では従来のマーケティングの常識が通用しなくなりました。日々はげしく移り変わる状況を読みつつ、柔軟な発想で対応していくことが大切です。

 

CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

CPA・ROAS・ROI・LTVからマーケティングを考える

Webマーケティングでは、いずれも「実施後の実績評価」が求められます。マーケティング効果を測定するためにはCPA・ROAS・ROI・LTVなどの指標があり、デジタルマーケティング担当者は適切な指標を用いて実績評価をおこないます。

ここでは押さえておきたい指標として「CPA」「ROI」「ROAS」「LTV」の四つを簡単にご説明しましょう。
指標は一つだけ覚えていても足りません。顧客や測定目的によって使い分けなければいけませんので、基本だけでも頭に入れておきましょう。

Webマーケティングの効果を測定するための指標

1.CPA「コンバージョン単価」

「CPA (Cost per Action / Acquisition)」とは、1件のコンバージョンを得るためかけた費用の割合をあらわすものです。
数式としては「CPA = 広告費用/コンバージョン数」で求められます。

CPAのメリットは「手軽に算出できる指標であること」「業種に関係なく広告のパフォーマンスを測定できること」です。算出するために必要なデータは広告費用とコンバージョン数だけですから、顧客からのヒアリングなどはいりません。比較的容易に算出でき、また広告主の業種に関わらず利用できる指標です。

デメリットとしては原価等の要素をふくまずに計算しますので、利益率などは読み取れません。利益率を含む測定には、次の「ROI」が適切です。

2.ROI「投資の費用対効果」

「ROI (Return on Investment)」とは、投資額に対して得られた利益をあらわすものです。ROIが高ければ高いほど、投資に対するリターンが大きかったことを意味します。
ROIは「ROI =(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100(%)」で求められます。

ROIのメリットは「規模の異なる投資でも効果測定ができて比較しやすい」「効果が数値で判断できるので事業継続の判断が容易になる」の2点です。
企業の投資は案件ごとに異なりますが、ROIをみれば各案件の投資効果を見比べることができます。ROIの高い事業は投資効果が優れているため継続すべきでしょうし、逆にROIが低い事業は改善をおこなって費用対効果を上げる必要があります。

ROIのデメリットは「広告に対する売上がわかりにくい」点です。投資効果は読み取れますが売上効果を見るには、次の「ROAS」が適しています。

3.ROAS「広告費回収率」

「ROAS (Return on Advertising Spend)」は、広告費用の回収率または、広告の費用対効果をあらわします。広告出稿後の売り上げ効果を見るものです。ROASとROIはどちらも「支払った費用に対する効果」をあらわすものですから、数値が高ければコスト以上のリターンがあったことになります。
ROASは「広告からの売上÷広告費×100%」の数式で求められます。これで広告費1円当たりの売上額が分かります。

ROASのメリットは「出稿費に対して得られた売り上げが一目で見える」点です。測定したROASが100%以上であれば、その広告は支払った広告費以上の売り上げをもたらしたことになります。

ROASのデメリットは「売上効果が分かっても、利益が出ているのかわからない」点。企業としては売り上げ効果以上に「利益は出たか?」という事を重視しますから、ROASよりもROIの測定を優先することもあります。

LTV「顧客生涯価値」

「LTV(Life Time Value)」とは、1人あるいは1社の顧客が取引を始めてから終了するまでのあいだにもたらす利益の総額です。「顧客生涯価値」とも言われ、顧客1人から得られる平均の売上をあらわします。
数式としては「LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」から算出します。

LTV測定のメリットは、「既存客からの売り上げの上限が推測できる」こと。
Webマーケティングにおいては既存客からどれだけの売り上げを得られるかが勝負の分かれめになります。なぜなら既存顧客との関係を良好に保ち、より多くの商品をより長く購入してもらうことが安定的な収益につながるからです。
新規顧客の獲得コストは「1:5の法則」に見られるように、既存客の維持コストよりも高額です。コストパフォーマンス面から言っても既存顧客との関係を堅持し拡大していくほうが、利益率が高いのです。

LTVのデメリットは、顧客とのコミュニケーションを確保するマネジメント= CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)が必要であること。
顧客の購買履歴やクレーム履歴を把握しておくことでより緊密な信頼関係を生み出し、LTVを高めるよう努めねばなりません。

まとめ

Webマーケティングでは実施後のデータ分析が欠かせません。実績評価のための指標として、以下の4つは押さえておきましょう。

  1. CPA(コンバージョン単価)=1コンバージョンあたりにかかった費用
  2. ROI(投資の費用対効果)=投資額に対して得られた利益
  3. ROAS(広告費回収率)=広告の費用対効果
  4. LTV(顧客生涯価値)=顧客それぞれがもたらす利益の総額

各指標はあらわす意味合いが異なりますので、顧客が求める分析によって使い分けます。的確な実績評価をおこない、同時に、必要に応じて改善策を提案できるようにしておくといいでしょう。

 

コロナ禍で成功した飲食店マーケティング

コロナ禍で成功した飲食店マーケティング

世界中が想像もしていなかった新型コロナウイルス。各国での感染拡大が止まる様子はなく、日本でも二波・三波への警戒感から飲食店は苦境を強いられています。
ここではコロナ禍でも成功しつつある飲食店について「デリバリー、テイクアウトで新規開拓」「新規客のリピーター化」「コンテンツマーケティングによる顧客育成」の3点からご説明しましょう。

コロナ禍にあっても従来どおりの売り上げを維持できている店舗もあり、マーケティングによって営業成果に大きな差が見られるのです。

デリバリー、テイクアウトで新規顧客を開拓

コロナウイルスの感染拡大防止をうけて、多くの飲食店が営業自粛を余儀なくされました。とくに居酒屋系やファミレスなどは大きく収益を下げており、売り上げは前年の同期比でみると半減しているところもあります。

いっぽうでテイクアウト中心のマーケティングを進めてきたファストフード店の多くは堅調に業績を維持しています。ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドでは減収はほとんど見られません。
このほか新規顧客開拓のために、ウーバーイーツを利用したデリバリーやテイクアウトに大きく切り替えた飲食店も多数あります。
ただしデリバリーやテイクアウトでは、従来のように来店して飲食をしてもらうほどの売り上げが見込めず、大きくダウンしているケースが多いようです。

やはりデリバリーやテイクアウト中心では飲食店は無理なのか…と思うかもしれませんが、「新規顧客のリピーター化」と「顧客の育成」の2点に絞ったマーケティングを展開していけば十分に活路を見出す可能性があるのです。

最重要課題は既存客のリピーター化

デリバリーやテイクアウトでの収益アップには「既存客リピーター化」が最も有効な方法です。ここではすぐにできる対策として以下の2点を考えてみましょう。

  1. リピート利用の既存客の接客をパーソナライズして対応
  2. 同梱チラシで推しメニューやテイクアウトメニュー表を配布

既存客をリピーターにするには顧客に「特別感」を抱かせる必要があります。
既存客に対しては以前の注文からメニューの好みを割り出し、顧客それぞれにパーソナライズしたおすすめメニューを紹介するなどして「あなたのためだけのサービス」を強調していくといいでしょう。

またデリバリーやテイクアウトから実店舗に予約来店があったときは、サービスメニューを用意しておくなど「あなたは特別な顧客です」という店側のメッセージがしっかりと伝えるとリピーター化が早く進みます。
テイクアウトの場合は「同梱チラシ」が効果的。
テイクアウトメニューとともにチラシを入れてコロナ禍で変わった実店舗の営業時間を伝えたり、テイクアウトのメニュー表を入れたりしましょう。
スタッフや店の紹介など、ストーリーが伝わる文章をチラシ内につけておくのもおすすめです。

接客のパーソナライズ化や同梱チラシなどは、それほどコストをかけなくても始められます。新規顧客のリピーター化に向けて、すぐに試してみましょう。

コンテンツマーケティングを利用した顧客育成

コロナ禍の生活においてはネットを介した情報収集が急増しました。それまであまりネットを利用していなかった高齢者層を中心として、在宅で情報を得る「ネット」の利用が従来よりも増えた印象があります。
そこで営業効果が見込めるのが、「コンテンツマーケティング」です。

「コンテンツマーケティング」はネット上の読者に向けて役に立つコンテンツを無料で発信し、コンテンツを読んでもらう・動画コンテンツを見てもらうことを通じて、企業ブランドへの顧客のファン化を狙うマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングは中小規模の飲食店でも始めやすいのが大きな利点。とくにツイッターやインスタグラムといったSNSを利用する方法は、個人で運営する飲食店でも気軽に始められるのでおすすめです。

ただし、コンテンツマーケティングでは継続して記事を発信し続けることが重要。継続することで顧客の中に信頼感を生みますから、一度始めたら途中でやめないことだけは必要です。
なかなかうまく軌道に乗らない場合は外注のコンテンツマーケティング業者に業務を委託することもできますから、チャレンジする価値のある顧客育成方法です。

まとめ

コロナかで大きな転換を迫られている飲食店。新しい生活様式に合わせていく為には、以下の3点をふまえたマーケティングを始めましょう。

  1. デリバリー・テイクアウト・実店舗の相互作用で収益をあげるスタイルに変更
  2. 既存客はパーソナライズした接客でリピーター化
  3. コンテンツマーケティングで新規客を開拓・ファン化

大勢があつまりにくいコロナ禍においては、飲食店は従来の営業スタイルからの脱却を強いられています。ネットを利用した顧客獲得・育成に力を入れて大きな時代の変化を乗り切りましょう。