コンテンツマーケティングの歴史

「コンテンツマーケティング」という言葉は、ごく最近の流行語のような気がしませんか?
しかし、じつは19世紀後半から使われている手法であり、ネットの普及に従って大きく進化を遂げたものです。

ここでは、コンテンツマーケティングの歴史について、かいつまんでご説明しましょう。
これまでたどってきた歴史を知れば、コンテンツマーケティングの目指す方向が見えてくるでしょう。

19世紀から始まる「コンテンツマーケティング」の歴史

「コンテンツマーケティング」は、2007年に設立されたアメリカの企業「CMI(Content Marketing Institute)」が作った造語です。
「ユーザーが面白く感じ、有益な情報を届ける」ことを通じて、企業認知度や売り上げアップをはかるもので、日本では2014年ごろからよく聞くようになりました。

ネット上の検索キーワードとしても、世界じゅうで注目されているマーケティング用語の一つです。
19世紀以降、コンテンツマーケティングの媒体はさまざまに変化してきました。

雑誌・ラジオ・テレビ・インターネットと時代に沿って変わりましたが「ユーザーの需要にあった情報を届ける」という根本的な姿勢は同じです。
むしろ現在のように簡単に大量の情報が手に入る時代だから、徹底的に「顧客視点」にたったコンテンツマーケティングが求められているのかもしれません。

ユーザーのもとめるコンテンツを発信し続けることが、成功につながっていくのです。
それでは、ここからは実際にあった成功事例に沿って、コンテンツマーケティングの歴史をご説明しましょう。

どれもユーザー目線に立ったからこそできた、成功例です。

3つの事例から見る、コンテンツマーケティングの歴史

農機具ユーザーに必要な情報を提供した雑誌「The Furrow」

雑誌「ザ ファロウ(The Furrow)」は、コンテンツマーケティングを本格的に運用して成功した最初の実例です。
「ザ ファロウ」は、アメリカの農機具メーカー「ジョンディア(John Derre)」が1895年から発行している雑誌。

最新の農業技術の紹介や農業の知識などを掲載し、同社の農業用トラクターなどを使用するユーザーに、有益であると思われる情報を提供しています。
ちなみに、雑誌を発行しているジョンディア社は、農業用トラクターのシェアが世界トップクラスです。

しかし「ザ ファロウ」は創刊時より、単なる商品カタログでなく情報を提供する雑誌というスタンスに立ち続け、農機具ユーザーから支持されてきました。
この雑誌は現在でも発行されており、アメリカだけでなく12の言語に翻訳されて、世界で約150万人もの人が利用する雑誌になっています。

紙媒体を利用したコンテンツマーケティングの成功例として、有名な一例です。

ドライブの楽しみから人気レストランガイドに成長「ミシュランガイド」

「ザ ファロウ」に続いた成功事例が、「ミシュランガイド(The Michelin Guide)」です。
「ミシュラン」は、フランスで1863年に創立したタイヤ製造・販売を行うタイヤメーカー。

「ミシュランガイド」は1900年の創刊で、そもそもは楽しいドライブ文化を普及させる目的で始められた冊子でした。
旅行者を安全な車の旅へ誘うために、タイヤの修理方法や市街地図をのせ、あわせて旅の基本情報としてガソリンスタンドやホテルについても記載。

そしてドライブを楽しむための情報の一環として、レストラン紹介があり、これが大人気となりました。
1920年代の終わりごろには、評価を星の数であらわすスタイルが定着し、毎年新刊が発行されて情報が刷新。現在まで続いています。

旅行者に必要な情報を提供し、旅をうながすことで、最終的にタイヤの販売を伸ばすという、コンテンツマーケティングのお手本のような流れが成功した例です。

P&Gによるラジオドラマ

アメリカの「プロクター・アンド・ギャンブル(The Procter & Gamble Company 以下ではP&G)」は、洗剤や石けんを扱う消費財メーカーです。
こちらでは1930年年代からラジオ・テレビを使ったコンテンツマーケティングが行われました。

目を付けたのは、ラジオ・テレビドラマです。
洗剤や石けんのメインターゲットである主婦層にアピールするため、主婦向けドラマを作ることでエンターテインメント性の高いコンテンツを提供。

これを会社の知名度及び売り上げに結び付けるのが目的でした。
そのためラジオ・テレビドラマの内容は、女性に人気のあるメロドラマ。

昼間に放送された恋愛や家庭をテーマにした番組は主婦層から圧倒的な支持を受け、ブランドの認知及び売り上げの向上につながりました。
ドラマの内容としては、けっして自社製品を紹介するドラマではありませんでしたが、番組を見た主婦層が堅実なP&Gユーザーとなり、結果的に売り上げアップとなったのです。

ちなみにP&Gの成功を踏まえて、それ以降アメリカでは昼ドラのスポンサーは石けん・洗剤メーカーがつくことが多くなりました。
昼ドラ=「ソープオペラ」という言葉まで生まれたほどです。

ラジオ・テレビと消費行動がガッツリつながった、コンテンツマーケティングの力を見せつける一例です。