サブスク型収益モデルは圧倒的に企業経営が安定する

ビジネスの手法は実に多種多様で、時にはこれまでの常識をくつがえすような方法が大きな収益を生むことがあります。
たとえば最近では「サブスクリプション」と呼ばれる一種の「定額制」が大人気です。

ここでは「サブスクの収益モデル」「サブスク導入企業の成功例」「継続収入と安定性」の3点から、サブスク型モデルについて考えてみましょう。
安定的な収益をもたらすサブスク型モデルは、将来的にあらゆる業種に進出してくると言っても過言ではないのです。

サブスクの収益モデル

「サブスクリプション(subscription)」とは、製品やサービスなどの利用に際して定額を支払うことにより、一定の期間中好きなだけ利用する権利を得ることです。
もともとは新聞や雑誌などの購買予約を指す言葉でしたが、現在の日本では動画・音楽配信サービスの定額利用などの「定額・使いたい放題契約」である、と言う認識が一般的です。

サブスク型モデルの大きな特徴は、ユーザーの志向が「所有から利用」へ変化していることに対応している点にあります。
これまでの「買い切り型モデル」とは違い、物を所有する喜びよりも、使いたいもの・欲しいものを「一定期間だけレンタルして楽しむ」というユーザー志向の変動に対応した収益モデルなのです。

サブスク導入企業の成功例

サブスク型モデルは、海外や日本の企業ですでに導入され大きな利益を生んでいます。
ここではアメリカの自動車メーカー「フォード」のサブスク型カーシェアサービスと、日本のオンライン医療相談サービス「Doctors Me(ドクターズミー)」の成功例を見てみましょう。

フォードのカーシェア型サブスクモデル

アメリカを代表する自動車メーカーのフォードでは、グループ傘下の企業「キャンバス」でサンフランシスコにおけるカーシェアリングサービスを始めました。
アメリカではすでにGMなども定額制のカーシェアサービスを始めていますが、フォードの場合は低料金がポイントです。2018年の時点で利用料金は初回登録料が99ドル、月500マイル走行プランなら月額429ドルと利用しやすい価格帯です。

借りられる車種には高級車のリンカーンやスポーツカーのマスタングなども含まれており、人気を集めています。
こんな高級車をカーシェアに!?と思うかもしれませんが、車両はフォードのディーラーで短期リース車として使用済みのもの。

フォードにとってもリース済み車の新しい活用方法となり、定額利用料以外の経営的メリットもあります。

Doctors Me(ドクターズミー)のお気軽相談型サブスクモデル

「Doctors Me(ドクターズミー)」はオンライン上で健康相談ができる日本のヘルスケアQ&Aサービスです。
ちょっとした健康上の心配は日々感じるものですが、病院へ行くほどでもない…という場合に気軽に利用できるのが人気の理由。

ユーザーはPCやスマホ経由で、聞きたことをすぐに尋ねられます。
また質問に対する回答は医師、薬剤師、歯科医師、獣医師、栄養士、カウンセラー等の専門家が担当しますから回答のクオリティも非常に高く、9時〜24時の間なら平均30分以内に専門家による回答がもらえるというスピーディさも魅力です。

料金は「月額相談し放題プラン」で月額324円(2020年5月現在・税込)。比較的低料金のため、長期にわたって利用しているユーザーが多いサイトです。

サブスクによる継続収入と安定性

企業にとってのサブスク最大の魅力は「継続収入」と「顧客とのつながり」です。
登録ユーザーが増えれば増えるほど毎月の継続収入が上がり、企業としては経営が安定します。

また顧客と直接つながることにより、きめ細かな「顧客サービス」が可能になります。
サブスク型モデルの場合、「顧客のLTV」を最大化することが非常に重要です。

LTVとは「Life Time Value(ライフ タイム バリュー)」の略で、一人の顧客が商品・サービスに対して支払う総額を言います。

サブスクでは顧客に長期的に利用してもらう必要があるため、利用が少ない顧客に対しては企業から積極的にメルマガなどでコンタクトを取り、サービス利用をうながすこともできます。これは顧客と直接連絡が取れるサブスク型モデルだからこそ可能な、営業活動です。

まとめ

消費者の志向が「所有→使用権のリース」に移りつつある現在、サブスク型ビジネスはさらに伸びていくと考えられています。
サブスクを開始する場合は、以下の2点にしっかりと注意を払いましょう。

●1.顧客の利用が延びるよう、顧客目線でサービス内容を設定・見直す
●2.利用が伸びない顧客に対しては企業から積極的にコンタクトし、顧客のLTVを最大限化する

サブスク型モデルは、利用後にまた別のものをレンタルする、あるいは同じものをヘビーユーズするという流れになります。
そのため「顧客が求めるものを提供する」事さえできれば収益は維持でき、企業に安定的な収益をもたらします。

「顧客目線」が何よりも重要なビジネスモデルでもあるのです。